先日、スズキ・エスクードを持っている母のもとに、
1枚の絵葉書が届きました。
差出人は地元のスズキのディーラーで、
裏面には「スプラッシュ誕生 From Europe」という文字が、
写真の横に入っていました。
それと前後して、マスコミは一斉に
スプラッシュの発売を報道しました。
しかし、その内容はクルマそのものよりも、
スズキが初めて海外工場で生産した製品を輸入したことと、
スプラッシュがハンガリー製であるということだったのです。
ハンガリーはもともと旧ソ連が主導するCOMECON加盟の
共産主義国でしたが、1989年に民主化しました。
そのタイミングでスズキはハンガリー進出を決断し、
1990年に基本合意に達し、翌年にマジャール・スズキ社が設立されました。
ちなみにハンガリーという国名は英語での名前であり、
本来の国名はマジャール(Magyar:マジャルともいう)となります。
その後、ハンガリーはNATOへの加盟を果たして西側陣営に入り、
2004年にはついにEU(欧州連合)への加盟を実現、
さらに2008年にはシェンゲン協定加入により、
加盟国と自由に行き来できるようになりました。
マジャール・スズキで生産された車は
ヨーロッパ全域で走っています。
特に世界戦略車であるスズキ・スイフトは大ヒットし、
イギリスをはじめヨーロッパ各国でよく見かけます。
そして、日本では生産していないスプラッシュを、
ハンガリー製スズキ車として輸出するに至ったのです。
現在、ヨーロッパは通貨が暴落しており、
相対的に日本円が強くなっているので、
スズキは絶妙なタイミングでヨーロッパからの輸入を
スタートさせる形となりました。
しかし、スズキがハンガリーから商品を輸入するのは
実は今回が初めてではありません。
意外にも、スズキは知名度が低いものの
ハンガリーに高品質のワインがあることに注目し、
かなり以前からハンガリーワインを輸入しているのです。
現在は子会社に移管して輸入販売を行っています。
このスズキのケースは、将来性にかけて進出して共栄を図るという点で、
ヨーロッパとの付き合い方を考える優れた事例と言えます。
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