以前のネタにも書きましたが、
パリには2種類の地下鉄があり、主に市内を走るのが「メトロ」、
都心と郊外を結ぶ大型の急行地下鉄が「RER]といいます。
この2つはいずれもRATP(パリ市交通公団)が運営していますが、
(一部のRERはSNCFフランス国鉄が運行するが運賃ルールは共通)
メトロとRERは微妙に運賃制度が違うので、要注意です。
パリのメトロは、市の面積がそれほど広くないことから
世界でもめずらしい、均一運賃制度を採用しています。
このため、1乗車1.50ユーロとなっています。
また、カルネといって10枚を一度に購入する回数券があり、
10枚で11.10ユーロとなります。
これらのきっぷはt+(テー・プリュス)といい、
バスやトラム(路面電車)、モンマルトルの丘のケーブルカーにも有効で、
バス同士またはバスとトラムの組み合わせであれば、
最初に乗った時の刻印(きっぷを機械に差し込む)から
1時間以内であれば1枚のきっぷで乗り継ぎもできます。
さらにこのきっぷはRERにも使えますが、
パリ市内限定という制約があります。
実はこれが困った問題を引き起こすのです。
パリの新都心にラ・デファンスという場所があります。
ここは新凱旋門(グラン・アルシュ)があることで有名です。
そしてラ・デファンス駅にはメトロの1号線とRERのA線が乗り入れています。
ところがこのラ・デファンスは、厳密にはパリ市外なのです。
このため、RERの場合はt+(テー・プリュス)では乗れません。
一方、メトロは全区間均一運賃というルールであるため、
t+(テー・プリュス)で乗れてしまうのです!!
パリのメトロは一部市外にも走っていますが、
このように同じ場所でRERの駅が存在するケースはここだけです。
よって、凱旋門があるシャルルドゴール・エトワール駅からラ・デファンス駅までは、
完全に平行して同じ区間を走るのにもかかわらず、運賃が違うのです。
この矛盾はパリ市民の中でも多くの人が問題意識を持っていますが、
RATPは例外をつくりたくないのか、未だに運賃は異なっています。
中にはt+(テー・プリュス)でRERに乗って市外に出て、
ラ・デファンス駅の自動改札を違法に乗り越える不届き者も少なくありませんが、
これはあくまでもルール違反ですので、真似してはいけません。
素直にメトロに乗って合法的に運賃を節約しましょう。
コメントはまだありません。