世界的にも独自の発展を遂げてきた日本のスーパーマーケット業界。
海外からいくつもの世界的チェーンが進出してきましたが、
日本にはグローバライゼーションが通用しないらしく、
多くは苦戦や撤退を強いられています。
一例を挙げれば、フランスのスーパーであるカルフールが
日本での事業に失敗し、イオンに売却して撤退しています。
イギリスのスーパーであるASDA(アズダ)を傘下に持つ
アメリカのウォルマートは、日本の西友を完全子会社にしましたが、
一時期苦戦を強いられた結果、不採算店舗が閉鎖されました。
そんな中、他者の失敗を教訓に慎重な進出をした会社があります。
その名はTESCO(テスコ)。イギリスに本拠地を持ち、
世界展開をしているスーパーです。
テスコは日本進出にあたって「テスコ流」の店を敢えて作りませんでした。
まず行ったのは、東京を地盤にする中堅スーパーである
シートゥーネットワーク社に資本参加したことです。
この会社は「つるかめ」の名前でスーパーを展開しており、
テスコは日本の商習慣を数年かけて学びました。
つまり、いきなり「テスコ色」に染めることをあえて避けたのです。
(写真左:愛知県豊田市のケーズデンキ内にかつてあった「つるかめ」永覚店)
つるかめの売り方は現在も従来の形を変えておらず、
テスコとのつながりをうかがわせたのは、
わずかにテスコオリジナルのスパークリングワインを
売っているのを見かけた程度でした。
その後、シートゥーネットワーク社はイギリスのTESCO PLCグループの
完全子会社となり、テスコ・ジャパンと社名を改めました。
そして、日本でもテスコの名前で出店を始めたのです。
しかし、イギリスにあるような巨大なハイパーマーケット形態の
「TESCO extra」はあえて作らず、はじめは一番小さな規模で
コンビニより少し大きい程度の店である「TESCO express」の形で、
首都圏において出店を始めました。(写真中はイギリスのTESCO express)
その後、テスコ・ジャパンはようやく「つるかめ」を
「TESCO」にリブランドするようになってきました。
短期で稼ぐのではなく、日本に徐々に溶け込む形で
少しずつビジネスを進めてきましたが、
やはりヨーロッパ流をそのまま持ち込むことには無理があったようです。
2011年8月31日、日本からの撤退を発表するに至りました。
そして2012年6月18日、イオンがテスコジャパンに出資。
後に全株式を取得して2013年1月1日に100%子会社になりました。
2013年3月1日には社名をイオンエブリに変更。
2013年7月にはテスコの店名が日本から姿を消しました。