ヨーロッパを旅したことがある方には、
ジプシーのことを見聞きしたことがある人も多いと思います。
ジプシーというのは、ひとつの民族です。
エジプト方面から来た、という誤解からジプシーの名があるため、
現在はその民族の自称であるロマというのが一般的です。
「流浪の民」と呼ばれ、定住せずに移動しながら生活するロマは
ヨーロッパ大陸各地に住んでいます。
Seaviewもフランス、ハンガリー、ボスニアヘルツェゴヴィナなどで
その姿を見たことがあります。
以前はフランスで悪さをするロマの子供達が多く、
社会問題になっていました。
単に物乞いをするだけなら無視すればいいのですが、
子供が集団で旅行者を取り囲み、
混乱しているスキを狙ってポケットから財布を抜き出すなど、
犯罪に加担するケースが少なくありませんでした。
Seaviewもマルセイユでロマの子供スリの被害に遭い、
現金とクレジットカードをすべて盗られてしまいました。
このときはユーレイルパス(ヨーロッパ乗り放題きっぷ)を持っていたことと、
トラベラーズチェックが無事だったため旅行は続けられましたが、
予定は大幅に変更せざるを得ませんでした。
このとき、数日後にアメリカン・エキスプレスが現地で
カードの緊急再発行をしてくれたため、
難を逃れることができました。
その後フランス国家警察は全力を挙げて、徹底したスリの取締りを行い、
物乞いも含めてロマの姿を見ることも減りました。
一方、ロマは音楽の才能に秀でていることでも有名です。
ハンガリーなどでは、レストランでロマのグループが、
民族音楽を演奏するケースがありました。
楽曲にも優れたものがあり、それに目をつけたブラームスは
ハンガリー舞曲として編曲したほどです。
最近では多くのロマは定住するようになりましたが、
少数民族であることと、かつてのスリの常習だったことから、
差別を受けているのが現状です。
そんな中、ヨーロッパの多くの国がEUに加盟したこともあり、
2008年9月16日にブリュッセルで「欧州ロマサミット」を開催し、
欧州委員長は生活支援や教育支援を約束しました。
ヨーロッパに住みながら、独自の文化を持つロマが、
この先どのように発展していくのか、注目されます。