北京パラリンピックが閉幕しました。
日本勢はメダル獲得数が大幅に減ってしまいましたが、
これにはちょっとした事情があります。
パラリンピックは障害者のスポーツ大会です。
スポーツと名乗る以上は、単なるリハビリの成果を示すものではなく、
競技性を重視するものになってきているのです。
しかし、日本では健常者のスポーツは文部科学省なのに対し、
障害者は厚生労働省という、所轄官庁さえ違うという現実があります。
このことは、障害者スポーツの振興に大きな影響を与えています。
実は日本での障害者スポーツの指導員は、
その多くが障害者福祉に携わる人たちであり、
リハビリの延長という意識が強く残っているため、
純粋にスポーツの経験から指導者になっている人が非常に少ないのです。
このことは、スポーツの常識が障害者スポーツに
通用しないケースを生み出しています。
その結果、競技性を重視して健常者と同様の指導体制を持つ
諸外国に遅れをとりはじめ、北京パラリンピックでの
日本のメダル数の減少につながった、という見方をすることもできます。
もうひとつ重要なのは、パラリンピックの成り立ちです。
イギリスのロンドン郊外にあるストークマンデビル病院で行われた
スポーツ競技会がパラリンピックの源流なのですが、
実はこの競技会のもともとの目的は、第2次世界大戦によって負傷して
障害者になった戦傷病者のために行ったものなのです。
このため、病気などで障害者になった人たちのための
リハビリが目的ではなかったという歴史的な経緯があることから、
競技性が重視されるひとつの理由になっているようです。
その結果、パラリンピックには知的障害や聴覚障害の選手は
出場が認められておらず、別に大会を開いている状況なのです。
国際的にも、パラリンピックは「障害者の」という意識が薄れつつあります。
このことを念頭に置かないと、日本の選手強化が遅れをとるのは必至です。
2012年、パラリンピックはその発祥の地、イギリスに戻ります。
この際「障害者への福祉」という考えよりも、
「障害者が持つ無限の可能性」という考えに切り替えて、
日本の代表選手を育成していかなければ、
世界の舞台で活躍することは難しくなるでしょう。
そして、ヨーロッパ勢や中国勢と対等に戦えるよう、
今から選手強化をする必要があるとSeaviewは考えます。
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