スペイン第2の大都市で、万博(1929年)とオリンピック(1992年)の両方を開催した
バルセロナ(Barcelona)は、碁盤の目のような道路配置など、
以前から都市整備に力を入れてきた場所として知られています。
また、スペインの中でも、異なる文化と言語を持つ
カタルーニャ地方の中心都市としての機能も持っていて、
個性的な街づくりが注目されています。
バルセロナ案例は、ディスプレイ方法に
徹底的にこだわった内容になっています。
人の流れがスムーズになるような工夫がこらされ、
それでいて都市の魅力を上手に見せています。
ディスプレイでは、写真と文章で紹介しているのは
他のパビリオンや案例でも多く見られるものですが、
バルセロナ案例の場合、黒地に透過性の写真や白の文字で表示し、
バックライトで照らすことで観客の関心を引いていました。
文章も短く簡潔なもので、分かりやすかったです。
バルセロナ案例のもうひとつの特徴は鏡を多用していることです。
鏡を使うことは、スペース的な広がりを演出するだけではなく、
ネオンでの文字と相まって、異次元空間にいるような錯覚を覚えました。
さらに液晶ディスプレイでさまざまな映像を映し出していました。
それは単なる動画ではなく、街角の風景から、
ブティックでの洋服の陳列にいたるまで、
さまざまな生活のシーンを表示していました。
このディスプレイ、写真をクリックしてよく見てみてください。
この写真、実は鏡に映ったものを撮ったものなのです!
都市生活を都市機能だけで語るのではなく、
実際に暮らす人々の観点からの提案がされていたのが印象的でした。
デザインが優れていることも大切ですが、
そこに住む人々の暮らしやすさを求めることが、
本当の都市計画なのでは、と考えさせられました。
バルセロナの都市景観については、昨年に本が出版されています。
阿部和俊(愛知教育大学教授)編「
都市の景観地理 大陸ヨーロッパ編」(古今書院)の
第1章で『刷新をつづける産業都市バルセロナ−居住地景観からよむ都市のなりたち』
が掲載されています。
まにあ道ストアでの購入も可能です。
執筆された愛知県立大学の竹中克行准教授は
バルセロナとカタルーニャ地方の専門家として知られており、
こちらを参照されるとより一層理解が深まりますのでお勧めします。
城市最佳実践区の案例紹介はこれで終了です。
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