エデンプロジェクトという名前を聞いたことがありますか?
名前を聞いたことがなくても、写真やテレビで見たことがある人は
多いのではないでしょうか。
イギリスの南西端にあるコーンウォル州は、
交通が比較的不便で、経済的にもあまり恵まれた地域ではありませんでした。
この州の西端はランズエンドと呼ばれ、いかにも最果ての地というイメージです。
(ランズエンドを世界遺産としているサイトがありますがこれは誤りです!)
このような地域なので、これといって大きな産業はありませんでした。
鉱山資源で地域振興をしていた程度です。
コーンウォル州セントオーステル(St. Austell)の近郊に粘土採掘場がありました。
この跡地は地肌がむき出しになっており、無残な景観をさらけだしていました。
ちょうど西暦2000年を記念したミレニアムのプロジェクトで、
この粘土採掘場跡の再生を行うことになりました。
これがエデンプロジェクトです。
再生には綿密な計画が練られ、レディング大学(University of Reading)などの
協力でガーデニングをメインとして行われました。
このプロジェクトには日本からも愛知大学の藤田佳久教授がかかわっており、
そのレポートは月刊「地理」(古今書院)にも掲載されています。
エデンプロジェクトの中心的な施設に、巨大なドーム型の温室があります。
バイオーム(Biome)と呼ばれるこの温室は、
粘土採掘場跡の崖をかぶせるようにして建てられました。
写真左を見れば、どのように景観が変化したかがわかります。
中には熱帯や地中海気候が再現され、滝やせせらぎもあります。(写真中)
温室の内外には多くの植物が植えられています。
単に植えられているだけでなく、人間とのかかわりを紹介しています。
食材としての植物から工業材料としての植物まで、
人類がどのように植物を利用し、共存してきたかを展示することによって、
間接的に環境保護の意識を高める工夫がなされています。
このため、入場のシステムも環境に配慮されています。
車で来た観光客が行列を作る中、鉄道とバスで訪ねたSeaviewは、
入場料込みの往復切符(写真右)の提示で優先入場ができました。
ロンドンから遠く離れた場所なので日帰りはとても無理ですが、
2泊して1日じっくりと見てまわるだけの価値があります。
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