ヨーロッパの昔からの都市は、城壁に囲まれて発展してきました。
日本の場合、城下町は城を守るという観点で堀を持っていますが、
ヨーロッパは都市そのものを守るという考え方から、
市域とその外を城壁で分けてしまったのです。
フランス・ブルターニュ地方の港町・サンマロでは
現在も市街地は完全に城壁に囲まれています。(写真:3枚とも)
昔ながらの街並みが残されているので散策には適していますが、
市街地への進入は門からしかできないため不便です。
また状壁内の道路も狭いので自動車のスムーズな通行は難しい状態です。
もっともサンマロの場合は囲まれている範囲が狭いので、
自動車の乗り入れがなくても生活への支障が少ないようです。
その一方で城壁を撤去してしまった都市も少なくありません。
代表例がフランスのパリです。
パリでは現在、環状道路が市の外周を走っていますが、
実はもともとは城壁だったのを取り壊して道路にしたものです。
時代の流れから都市を守るための意味がなくなってしまったからでしょう。
しかし、環状道路に沿った地名には城壁の名残が見えます。
例えばPorte de Pantin(パンタン門)やPorte de Bagnolet(バニョレ門)、
Porte de Versaille(ヴェルサイユ門)といった感じで、
かつての門の名前が地名として残っているのです。
ここには環状バスPC系統が走り、多くの市民が利用しました。
このPCはPorte Circulaireの略で「門めぐり環状線」とも訳せます。
PC系統は後にPC1からPC3に3分割され、
そのうちの1つは路面電車(トラム)に変更されて現在に至ります。
パリのトラムについては
過去のネタをご参照ください。
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