世界的な陰謀史観を語る際には、
必ずと言っていいほど「イルミナティ」の名前があげられる。
イルミナティは、1776年6月1日、ドイツ南部バイエルン州インゴルシュタットにて設立された。
が、このバイエルン啓明結社は、実際にはわずか10年しか活動しなかった。
しかも、活動実態は決して秘密結社のそれではない。
なぜなら、この結社は、そもそも理想的な社会の実現を目指していたからである。
創設者は、インゴルシュタット大学で教会法の教授だった若干28歳のアダム・ヴァイスハウプトという人物だ。
彼は前年、「完全論者の教団」という私的サークルを結成。
そこで同時代のルソーなどのフランスの啓蒙思想家の影響を受け、
自由と平等を誰もが享受できる理想社会建設を研究していた。
彼は、すべての人間が「王」となる資格を潜在的に備えていると考えた。
だが、当時の社会は王制による支配下であり、一般人がこの資格を解放出来る場はどこにもなかった。
バイエルン啓明結社では、一般大衆の霊性を高め、それを自由に解放できる、真に平等な社会を求めたのだ。
そもそも「啓明(イルミネイション)」とは、自分自身の力で意識や人格、霊格を向上させ、
より高いレベルへの霊性へと至る能動的な働きをいう。
平等を謳ってはいるものの、それぞれの段階では努力に応じた結果というものが厳然として存在する。
そのため、結社内では、レベル向上の目安としてフリーメイソンから流用した位階システムが設けられた。
とはいえ学者集団である。ヴァイスハウプトは74年にメーソンになっていたものの、
より階級制度に詳しい人材を探す事にした。
82年、メーソンの儀式的要素を導入できる人物がようやく見つかった。
フリーメイソン会員で、著名な作家でもあったドイツのアドルフ・フォン・クニッゲ男爵である。
この人選が功を奏してか、教団は勢力を急速に拡大。
フリーメイソンのロッジでも、クニッゲの考案した位階システムが導入されるほどだった。
これがバイエルン啓明結社拡大に大きく寄与していく。
【画像:イルミナティの首領アダム・ヴァイスハウプト】
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