消滅したはずのイルミナティが、なぜ陰謀論の黒幕として
いまだに世界史の舞台で執拗に語られるのか。
ひとつには、
前々ネタでも紹介したとおり、フリーメイソンとの密接な関係がある。
これがイルミナティが世界史の黒幕として暗躍する存在と見なされる一因だ。
イルミナティが活動を禁止されてから数年後の1789年にはフランス革命が勃発する。
王制を倒し、民衆の社会を実現するというこの革命は、まさにイルミナティの思想の具現化そのものだったのだ。
これに驚いた王侯貴族や聖職者は、社会の激変の背景にあるものを必死に探ろうとした。
その結果、辿り着いたのが民衆を革命へと煽動する「黒幕」=「秘密結社陰謀説」だったのである。
だが、それからしばらくの間、この陰謀説は影を潜める。
それが再び世に現れるのは20世紀、イギリスの作家N・ウェブスター夫人の著作によってだった。
彼女は著書の中で、イルミナティは決して消滅などしておらず、
地下に潜って世界史を自在に操ってきたと主張。
それどころか、世界のあらゆる秘密結社や秘密宗教の背後には、彼らが存在するという。
またバイエルン啓明結社はその始まりではなく、それ以前からこの組織は活動し続けてきたと綴ったのだ。
この主張がきっかけとなり、世界にはユダヤ陰謀論と並んでイルミナティによる陰謀論が百花繚乱となる。
革命や戦争など、歴史上の大きな出来事はすべて彼らの煽動のもとに行われており、
その究極の目的は人類を家畜化し、世界を自らの意のままに隷属させる事とされる。
ヒトラーのナチスやフリーメイソン、外交問題評議会、三極委員会なども
すべてイルミナティの下部組織であると主張されたりと、まさに際限がない。
また、宇宙人が世界の要人を操っているという荒唐無稽な説まであるほどで、収拾もつかない。
すでに述べているようにイルミナティ=バイエルン啓明結社は200年以上も前に消滅している。
しかし、わずか数年の活動で、これほどまでに世界に大きな影響を与えた秘密結社は、他にはないことも事実だ。
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「イルミナティ」世界を牛耳る秘密結社【その1--誕生編--】