自他ともに認める、世界一食事がまずい国であるイギリス。
それだけならまだしも、食生活の乱れと食事のバランスの悪さから、
肥満の人が多いことも大きな特徴になっています。
既に殿堂入りした過去ネタ「
イギリスの食生活を考える」でご紹介した通り、
この状況はイギリスにとって大きな問題となっています。
日本の場合、戦後に学校給食の制度ができ、
国家資格を持つ栄養士や管理栄養士のチェックのもとで、
バランスのとれた昼食を提供することを、
教育の一環として長年取り組んできました。
それでも日本はまだ不十分と考えるのか、
近年は「食育」という言葉のもとで、
食材の由来から調理まで、
幅広く学ぼうとする動きが活発になっています。
イギリスも遅ればせながら、国が本気で取り組み始めました。
日本の文部科学省にあたるDfES(Department for Education and Skills)は、
2005年に1500万ポンドの基金を拠出して
SFT(School Food Trust:学校給食基金)が設立されました。
現在は寄付行為による団体(登録チャリティ団体:日本でいう財団法人に相当)
となり、給食の改善に取り組んでいるのです。
(写真はロンドン地下鉄内のSFTの広告)
http://www.schoolfoodtrust.org.uk/
具体的には、メニュー改善をおこなっています。
その内容は単に栄養のバランスを考えるだけでなく、
食品添加物に対する知識や問題、さらに学力向上のために、
脳の働きを良くすることまで考えているようです。
もちろん、おいしい給食の提供にも力を入れていて、
食事のおいしさを実感できるようにすることも大きな目的です。
しかし裏を返せば、イギリス人の味覚には
大きな問題があることを自ら認めたようなものです。
さらに2012年のロンドンオリンピック開催にあたっては、
選手村の食事が史上最悪になる可能性もないわけではありません。
実はSFTの設立された2005年は、IOC総会でロンドンでの
オリンピック開催を決定した年でもあるため、
このことが食事改善を国民レベルで考える
きっかけになったのかもしれません。