数ある世界文化遺産の中で、神秘的な存在を持つものに、
ストーンヘンジ(Stonehenge)があります。
ウィルトシャー州のソールズベリーの北にあるこの遺跡は、
人里離れた大平原の中に目立つように存在することから、
昔からその建造目的については議論が続いてきました。
そんな中、イギリスのボーンマス大学(Bournemouth University)の
ティモシー・ダーヴィル教授(Prof. Timothy Darvill)を中心とした研究グループは、
2008年4月にイギリスの公的な文化財保護機関である
イングリッシュ・ヘリテージの許可のもと、
1964年以来なんと44年ぶりに発掘調査を行いました。
その結果、9月21日にダーヴィル教授らはBBCを通じて、
ストーンヘンジの利用の目的のひとつとして、
「病人の治癒を願うための場所」という
位置付けがあることを発表しました。
この新説はこれまで信じられてきた
ストーンヘンジの「天文観測」という目的とは
大きくかけ離れていたものだったため、
このニュースは全世界を駆け巡りました。
発掘の結果得られたのは2つの新事実です。
ひとつは240kmも離れた南ウェールズのプレセリヒルズから運ばれてきた
ブルーストーンの破片がストーンヘンジの中心部で見つかったこと、
(注:ダーヴィル教授らはプレセリヒルズでも発掘を行っている)
もうひとつはストーンヘンジ周辺から多数の人骨が発掘され、
その大半は病気や障害を持っていたことを示す
兆候が見られたということです。
その結果、ストーンヘンジには病気治癒を願って、
遠くから人が集まってきた、祈りの場所ではなかったのか、
という新説を、ダーヴィル教授らのグループは発表したのです。
イギリス国民の反響は大きく、新聞は競って報道しています。
高級紙インディペンデントは「ヒーリングセンター」と報じ、
大衆紙サンにいたっては「救急指定ストーンヘンジ病院」と名付け、
担架で運ばれる負傷した古代人のイラストまで載せているほどです。
この研究結果は、2008年9月27日土曜日にイギリスBBCの特別番組
「Stonehenge - The Healing Stones」として放映されます。
http://www.bbc.co.uk/history/programmes/stonehenge/
ちなみにダーヴィル教授の所属するボーンマス大学は、
Seaviewの出身大学(大学院)でもあります。
母校の先生が歴史に残る研究成果を発表したことを、大変うれしく思います!
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