ニホンイシガメとクサガメの交雑種・ウンキュウについて。
「どんな特徴があるの?」といった疑問や、飼育の注意点、外来種問題(遺伝子についての問題)を含めた、皆さんに知っていただきたい現状のまとめです。
■カメの「ウンキュウ」とは
二ホンイシガメとクサガメの交雑種で、両方の特徴と遺伝子を受け継いでいる亀。なぜウンキュウと呼ばれるのか、名前の由来や語源はいまだ不明だそうです。笑
ひと昔前は「幻の亀」として高値で取引されていたようですが、現在では、池や川、ペットショップでも見かける機会が増えています。
2018年・名古屋港水族館の「カメ展」にいたウンキュウ。顔と脚はイシガメ・甲羅と模様はクサガメです。いろいろなバリエーションがあります。
■ウンキュウと外来種問題
日本固有種であるニホンイシガメの遺伝子と、クサガメの遺伝子が、お互いに今後何世代にもわたり混ざりあうことが問題視されています。
ウンキュウが自然界で確認されるようになったのは、約20年ほど前。本来、ニホンイシガメとクサガメは好む環境が異なるため、生息域も異なり、出会うことはほぼありませんでした。ところが、ペットとして飼われていたクサガメが遺棄されて野生化し、ニホンイシガメと生息域が重なったことで交雑が進んだとされています。
ウンキュウは交雑種ですが、普通の亀と変わらない繁殖力があります。
「イシガメ×クサガメ」・「ウンキュウ×クサガメ」・「ウンキュウ×イシガメ」 ・・・と、何世代にもわたって無限に交雑し、遺伝子汚染が進みます。
※2022年現在、名古屋市ではクサガメは在来種として扱われますが、ウンキュウは遺伝子撹乱個体として駆除対象。
■ウンキュウの遺伝的特徴
田中美穂さん著「
亀のひみつ」という本によると、ウンキュウには以下の特徴があるそうです。
1、外見的特徴
ウンキュウ第一世代は、上(甲羅)へいくほどクサガメの特徴が出やすく、下(腹甲)へいくほどイシガメの特徴が出やすい。
2、性格的特徴
おっとりでよく慣れるクサガメと、神経質でやさしく繊細なイシガメの性格が合わさり「普通のイシガメよりはおっとりしていて人に慣れやすい」
容姿も性格も、見事にハイブリッド!気になった方は、書籍をご覧ください。
■ウンキュウの飼育など
ウンキュウをペットとして飼育・繁殖・譲渡することは問題ありません。ただし、繁殖した子孫も含め、最後まで飼育することが求められます。
ウンキュウがどういう亀なのかを理解し、最後まで飼育する覚悟と注意が欠かせません。
何世代にわたる遺伝子撹乱の影響が出る交雑種の亀は、駆除対象の地域がほとんど。このまま自然界にいれば、残念ながら殺処分になる可能性がきわめて高いです。
もし、池や川などでウンキュウを見かけて「飼いたい」と思ったら、是非、愛情もって飼育してあげてください!
(2022年4月19日 改訂)
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