EU加盟国とシェンゲン協定加盟国の違いは、
残念ながらまだまだご存じない方が多いようです。
そこで、今回のネタではこの2つの違いを簡単に説明します。
【EU加盟国】
EUはEuropean Unionの略で、欧州連合と訳されます。
ヨーロッパの統一市場を作ることが最大の目的です。
このため、
加盟国間の物流には原則として関税がかかりません。
また、
加盟国の国民が自由に移動することができるのも大きな特長です。
詳細は過去ネタ「
EU加盟国内での出入国審査と税関検査の違い」
を参照してください。
【シェンゲン協定加盟国】
シェンゲン協定は、自由な移動のために、
加盟国相互の出入国審査を省略することを目的にしています。
この場合、
加盟国の国民以外も省略の対象です。
なお出入国審査と税関はあくまでも別のものですので、
シェンゲン協定は税関とは全く無関係です。
詳細は過去ネタ「
シェンゲン協定加盟国での滞在期間について」
を参照してください。
では「EU加盟国の国民が自由に移動」と
「シェンゲン協定加盟国間の自由な移動」は何が違うのでしょうか?
シェンゲン協定の加盟国相互間の国境では、単に「ようこそ○○国へ」という
表示が出ている程度で、出入国審査がなく、事実上のフリーパスです。
しかし、EU加盟国間でもシェンゲン協定未加盟国と行き来する場合、
たとえEU加盟国民であっても出入国審査を受けなくてはならないのです。
EU加盟国のうちシェンゲン協定に加盟していないのは
イギリス・アイルランド・キプロス・ルーマニア・ブルガリア・クロアチアです。
この場合、例えばEU加盟国であるフランス人がイギリスに入国する時は、
入国審査官に政府発行の身分証明書を提示するだけで、
あっという間に審査が終わって入国できるのです。
その一方、日本人は例えフランスからの移動であっても、
入国審査官にいろいろ質問されたあと入国許可をもらう形になるのです。
一方、シェンゲン協定加盟国間では、
出入国審査の省略は非加盟国の国民も含まれていて、
例えばドイツからフランスへの移動は、
日本人であっても入国審査官の検査を受けることはありません。
ちなみにシェンゲン協定加盟国のうち、
EU未加盟国はアイスランドとノルウェー、スイス、リヒテンシュタインの4カ国です。
駐日欧州連合代表部の公式ウェブマガジンを参照してください。
http://eumag.jp/question/f0412/
この違いは結構重要です。
ヨーロッパを数ヶ国周遊する場合は必ず覚えておきましょう。