もう報道でご存知かと思いますが、クリスマス前というのに、
最近ヨーロッパでは物騒な事件が続いています。
パリのオスマン通り(Boulevard Haussmann)にある
世界的に有名なデパート・プランタン(Au Printemps)には
爆発物が仕掛けられたこともあり、
商売のかきいれどきなのに警察による厳戒態勢がしかれているそうです。
以前にはドゴール空港に程近いオルネー・ス・ボワ(Aulney sous Bois)周辺で
警察に追われて若者が感電死した事件を発端に、
職を持たずに不満を募らせていた若者が暴動を起こし、
フランス全体に混乱をもたらしたこともありました。
それと同じことが、今回ギリシャでも発生しています。
こちらはティーンエージャーが警官に射殺されるという
殺人罪にも問われかねない状況が起きたため、
かねてから失業などで不満を募らせていた若者の感情が噴出して
今回の暴動につながりました。
この状況は収拾するどころかむしろ拡大する勢いです。
ギリシャはアジアのタイ同様、観光立国であるため、
主要産業である観光関連の業界は大打撃を受けていると思われます。
では、なぜこのような事態が起きるのでしょうか。
それは失業率の高さに一因があります。
ギリシャやフランス、スペインなどでは
25歳以下の若者の失業率が20%を超えるという異常事態で、
就職できても賃金はかなり低く、若者が置かれている状況は
日本とは比べものにならないほど深刻になっています。
失業者がはじめに手を染めるのが、スリです。
ヨーロッパ中どこでもスリが多いのは、
仕事がないために、そうしないと生きていけない
深刻な事情があるからなのです。
それでも犯罪に手を出さない若者もたくさんいます。
そういった失業者もきっかけさえあれば、意見を言いたくなるものです。
今回の暴動も、その一例でないでしょうか。
日本では競争力強化を名目に、欧米流のシステムを入れてきています。
しかし、不労収入である投資家への配当を最重要視して、
生産する立場の勤労者を安くこき使ったり、すぐに解雇したりして、
結果的に不安定な社会をつくってしまっているのです。
日本では企業が社員を守るという、
他国には見られないシステムが存在したために、
それが競争力になったという指摘もヨーロッパでは見られます。
もう一度、日本型経営を見直してみる必要があるのでは、と考えます。