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F1 アワード 2010 by F1 GPXpress道場 & F1 Club

◇評価 30ポイント
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2010年12月30日
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F1 アワード 2010 by F1 GPXpress道場 & F1 Club

 実はこの“F1 GPXpress道場”と別に、姉妹サイトとして“F1 Club”を運営させてもらっている。
 速報性のあるニュースやコラムは“F1 Club”、長文で突っ込んだ中身は“F1 GPXpress道場”とすみ分けているつもりだ。

 毎年ボクが勝手に選ぶ「F1 アワード」だが、今回は両者連動企画ということでお送りする。
 ドライバーのベスト&ワーストの詳細なコメントは“F1 GPXpress道場”に掲載。
 ドライバー以外のベスト&ワーストは“F1 Club”に掲載した。

 では発表のほどを。

【ベスト・ドライバー】
1位. F.アロンソ
 最多ポール・ポジション、最多勝利のヴェッテルにしょうかと悩んだが、アロンソをベストにした。

 大きな理由として、昨年1勝しかあげれなかったフェラーリを見事トップに持ち上げた点。そして、開幕戦で優勝後その後は未勝利。だが、第17戦で見事にランキングトップに返り咲いたその高い開発能力に高い評価をした。同じ環境で彼以外のドライバーが闘った場合、同じ結果を残すことは不可能だろう。

 彼一人だけ金曜日のフリー走行から組み立てが異なっていたことも特徴的。金曜日は黙々と開発に勤しみ、土曜日から猛チャージをあげて順位をあげている。この跳躍力と頭脳的プレーに同僚マッサは全く歯が立たなかった。

 また決勝では往年のA.プロストを思わせるような頭脳プレーを見せつけていた。時には速く、時にはタイヤを労り、時にはラインを変え、時にはファスティストを連発してみせる様は現役ナンバー1だろう

ベストレース:イタリアGP、シンガポールGP
ワーストレース:中国GP、モナコGP、アブダビGP

1.5位. S.ヴェッテル
 限りなく1位に近い2位という意味で1.5位。

 最多ポール・ポジション、最多勝利という輝かしい成績の割には大ポカが目立った1年だった。しかしシンガポールGP2位を皮切りに日本GP優勝、韓国GPリタイヤ(だが、エンジントラブルまでトップを走行)、ブラジルGP優勝、アブダビGP優勝して後半5戦を3勝2位1回リタイヤ1回は賞賛できる数字だ。

 なぜならシンガポールGP終了時点で、残りレースを全勝しないとチャンピオンを獲得できないというプレッシャーの中での結果だからだ。

 彼にとっての大転機はブラジルGPと思う。彼は今季SCが入るとリズムを崩して自滅するパターンが多かった。だがブラジルGPはSCが入っても動ぜず堂々の首位走行。確かにシーズン残り僅かだったが、ここからアブダビGPへ大躍進できたのでは?と思えてならない。
 彼を語る上でマシントラブルや大ポカもあるが、今季のナロートレッドのフロントタイヤとのミスマッチも大きい。フロントをスパッと切りこむ同僚M.ウェバーに対し、ヴェッテルの方がダルに見えた。ブレーキングが若干突っ込みすぎというドライビングスタイルに合わないと考えられるが、それが前半ウェバーと差がついた所でもある。

 確かにタイトルを獲得して万々歳となったが、彼がエースとしてチームを引っ張ったかどうかは微妙だろう。その点でアロンソに負けたと思っている

ベストレース:シンガポールGP、日本GP、アブダビGP
ワーストレース:イギリスGP、ベルギーGP

2位 M.ウェバー
 個人的に言うと、彼にチャンピオンを獲って欲しかった。理由は今季最も株を上げた点、そして抜群の安定感とミスの少なさという点、そして中盤戦までは明らかに同僚S.ヴェッテルより速かったという点にある。

 そしてヴェッテルがタイトルを獲得したいま、果たしてこの人がタイトルを獲得したらどうなっていたのか?という興味もわく。確かに華がないなど、地味だのと色々言われてきたが、ハンガリーGPまでは彼がタイトルに最も近かったのだ。

 それを逃したのは、後半戦に目についた「守りを意識した走り」ではなかろうか。
 彼を見ていて思うのが、勝負の世界では一旦守りに入ると、どんどん小さく収まってしまうという事実。2位でいいと思えば3位でもいいと思ってしまうし、そのハードルはどんどん低くなってしまう。

 後半戦ヴェッテルとアロンソは鬼のような攻撃を見せたが、ウェバーは彼らに負けたのではなく、彼自身に負けたのだと思う。
 シンガポールGPでアロンソとヴェッテルの2人だけのレースを見たウェバーは何を思ったのか?それは彼のみ知る事だろう

ベストレース:モナコGP、ベルギーGP
ワーストレース:韓国GP、アブダビGP

2.5位 L.ハミルトン
 限りなく2位に近い3位という意味で2.5位。
ドーベルマンのごとき瞬発力と戦闘力で後方から抜いていく様は、観客を熱狂の渦に巻き込んだ。そのオーバーテイクもタメなしで抜いていくという、往年のA.セナを思わせるテクニックを全世界に見せつけた。反射神経と天性のスピード、そして瞬発力はヴェッテル、アロンソより抜けていると思う。

 カナダGP、ベルギーGPの圧巻の勝利を見れば、彼の成長曲線は間違いなく右肩上がりだと思う。が、タイトルのかかった終盤戦のイタリアGP、シンガポールGPの自滅は、安定感のなさと精神的な脆さを伺わせた。まさに天国と地獄、賞賛と非難、その落差が激しいわりに達成感のないシーズンだった。

 シーズン前、2009年チャンピオンのJ.バトンが加入するときき、同僚対決が注目されたが、結果はハミルトンの勝利。だが、自身のチャンピオンシップ4位、コンストラクターズ2位は、さして嬉しい結果ではなかろう

ベストレース:マレーシアGP、カナダGP、ベルギーGP
ワーストレース:イタリアGP、シンガポールGP

3位 J.バトン
 TOP5のタイトル攻防戦から真っ先に脱落。意外というかやはりというか、だが前半戦の主役は間違いなく彼だった。
意外に触れられていないが、彼は2009年と比べて大きくドライビングスタイルを変えてきている。2009年は縁石にタイヤを乗せないような走りだった。が、2010年は縁石をガンガン使い積極的にタイヤに熱を入れた走りに変えていた。とはいえタイヤを労わる走りは健在。中国GPは天候不順のレース、ここでステイアウトという選択ができたのも彼のタイヤに優しいドライビングのおかげである。

 確かに乱戦や天候不順のレースでは滅法強かったが、ドライとなると他4人と差がついてしまった。特に速さという点で明白で、予選ポール獲得ゼロの成績は少々寂しい。

 だが、ハミルトンのチームとまで言われたマクラーレンの中に飛び込み、チームとハミルトンの間に波風立てずにシーズンを過ごせたのは、彼にとってもチームにとっても良好な結果といえる

ベストレース:オーストラリアGP、中国GP
ワーストレース:韓国GP

4位 R.クビサ
 こりゃ、あかんやろ。と言われてた2010年のルノーでクビサは目の覚める走りを全世界に披露した。ドライビングというのは、かくも鋭利で攻撃的で精密なものだというのを十分知らしめたと思う。本当にこの人四輪ドリフトでコーナリングするんだよ。信じられない。フォーミュラー・カーでやるか?まさに男が惚れる走り。
 けれど真似したら間違いなく天国に行きます。

 白眉はモナコGP。言う事ないっす。

5位 N.ロズベルグ
 技術的にレッドブル、マクラーレンより数歩劣るメルセデスのマシンで、相応の結果を残せたのは立派。チームが同僚シューマッハ寄りになっていくにも関わらず、動ぜず着実にポイントを稼いでいた。シーズン途中でマシンがロングホイール化したが、彼の成績にはさほど影響を及ぼしていない。つまりそれだけ彼の引き出しが多い証拠である。

 同僚シューマッハのスイート・スポットが狭いのか、ロズベルグが広いのか。どちらにせよ、来季メルセデスのマシンはロズベルグのスタイルに合わせるのが当然だと思うが。
 ロズベルグが未だ未勝利なのが不思議で仕方がない。

6位 小林可夢偉
 シーズン序盤はマジで「だめだ、こりゃ」と思った。確かにフリー走行では頑張っているんだけど、決勝では空回りする。このまま終わるのかな?と思っていたが、転機はトルコGPにあった。そこから飛躍していくのだが、正直ここまでとは思わなかった。

 可夢偉といえばオーバーテイクかもしれないが、その裏にはタイヤの使い方の上手さがある。ロングスティントからタイヤ交換し、グリップが良い状態でビシッと抜いていくパターンが多い。いかにしたら前に行けるかを常に考えている証拠である。

 またトルコGP、シンガポールGPのQ3進出は神がかり的だった。この一発の速さが来季どこまで進化するか楽しみである。
 ミスの少なさも光る。ミスによるマシン損傷はカナダGPとシンガポールGPの2回。ルーキーにしては異例の結果だろう。

 惜しむらくはモナコGPのリタイヤ。ここでポイントを獲得していれば、今の評価をもう一つ上回っていたと思う。

7位 R.バリチェロ
 この方は毎年評価に悩んでしまう。
 昨年のブラウンGP時代は同僚バトンに後れをとり、後れをとったかと思うとヨーロッパGPでいきなり復活するし。さすがに300戦も出場していると、引き出しが多すぎてわけがわからなくなるのだろうか?会社でもそんなベテランの人がいたりするし。

 でも、今年は今まで見た中で、一番評価が高かったと思う。
 ウィリアムズは今季よりコスワース・エンジンを搭載したが、下位に埋もれず上位に引っ張ってこれたのはこの方の腕のおかげだろう。走りは変幻自在の変態チックだが、開発能力はやはり高い。型物で有名なウィリアムズも何故かこの方の意見を尊重しており、今季ウィリアムズは開発パーツがピタリと当たった。さーそうなると、乗ってくるのがこの方である。バリさんには珍しくチーム批判が一切なかったのがそれを物語る。

 今季めでたく前人未到(というか、誰も抜かそうと思わないだろう)の300戦出場を果たしたが、今季が彼にとってベストシーズンなのは間違いないだろう。

とはいえ、この方のハイライトがイマイチ浮かばないのが不思議である。
 覚えているのは、モナコGPで一回転して止まったあと、ステアリングを放り投げたとか。
 ハンガリーGPでシューマッハにウォールに押し寄せをくらったとか。
 日本GPで可夢偉にオーバーテイクをされたとか。
 そんなシーンばっかりだ。
 けれど、名門浮上のきっかけをつくったという点で評価した。

8位 H.コヴァライネン
 すっかり腐っていたマクラーレン時代と比べて、走りに輝きがでていたと思う。
 荒れた展開となったオーストラリアGPでは決勝13位。荒れた予選となったマレーシアGPでは15位をゲットしている。ロータスが最終的に新興チームトップを飾れたのは、ほぼこの人の頑張りのおかげである。

 殊勲は中国GP。決勝では見事ウィリアムズのN.ヒュルケンベルグを抜いて14位。
 新興チームが初めて既存チームを抜いた瞬間である。

9位 T.グロック
 風洞を一切使わない、メイド・イン・デジタルのヴァージンVR-01を駆るのはグロックにとって未知との遭遇だっただろう。事実VR-01はマシンの各部が脱落するという、実戦向きではない面を見せた。またダウンフォース不足は明らかで、コーナリング中グリップ不足でマシンが横滑りするシーンも多かった。アクセルを踏むのも躊躇してしまうようなマシンで、グロックは最善を尽くしたと思う。
 ハイライトはシンガポールGP。序盤、入賞の可能性もあっただけにリタイヤが悔やまれる。

【ワースト・ドライバー】
1位 M.シューマッハ
 この人がチームの役に立ったのは、スポンサー獲得だけだったのでは?
 この人のタイヤに厳しい走りが、現代のタイヤを労わる走りと相反するものなのは証明済み。またシューマッハ寄りに開発シフトされたマシンでも同僚ロズベルグに負けているのだから話にならない。

 引退した2006年もちょくちょくミスが目立っていたが、復帰した2010年は速さに陰りが見えてきた。原因は加齢による反射神経と視力の衰えにあると思われる。つまり年を重ねる2011年も期待はできず、本当に2012年いっぱいまで走るつもりなのか疑問である。

 彼の厳しいブロックもすっかりスポーティとなった現代F1にはレトロに見える。ポップスの流れる中、唯一歌謡曲が流れているような印象を受けた。

2位 F.マッサ
 2007年王者の旧同僚ライコネンを完璧に抑えた2008年だったが、今季はアロンソに完膚なきまでに叩きのめされた。予選では対アロンソ予選4勝15敗、決勝5勝14敗、ポールなし、優勝なしという成績。ランキング6位だが、一つ間違えればロズベルグやクビサに抜かされかねない結果だった。

 フリー走行から見ていると、とにかくコースオフが目立つ。アロンソが的確にプログラムをこなしていくのに対して、どうもモタモタしている印象があった。上手く的確にクリッピングポイントにつくアロンソに対して、マッサのドライビングはどうも散漫に見えた。今までそんな風に見えたことはなかったのに。

 勝利に対してシビアな考え方を持つフェラーリが、アロンソに傾注していくのは当然の流れだろう。フェラーリF10がアロンソ寄りになったのは明らかだが、ここまで差がつくのはメンタル面の影響がかなりあると思われる。

 ワーストという表現はどうかと思うが、そう呼ばれても仕方のない結果だと思う。

3位 V.ペトロフ
 最初に言っておくと、ルノーというチームは新人の育成が下手なチームである(下手というか愛情が全くない)。ピケJrもグロージャンも失敗している。同僚にF.アロンソという絶対的ナンバーワンがいたからと言えるが、新人を潰す方向に持っていくのはいかがだろうか?

 ペトロフもクビサというナンバーワンの陰に隠れた新人であり、チームの彼に対する扱いも同じようなものだ。がそれを差し引いても、ペトロフの場合はあまりにもミスによる自滅、クラッシュによるマシンの損失が多すぎる。特にコーナリング中、スピードを乗せすぎてタイヤバリアに激突というシーンが多く、そのたびに写るメカニックの渋い顔が印象的だった。シーズンが進むにつれてチームとの信頼関係なんてゼロだったのではなかろうか?

 タイヤの扱いやマシンコントロール、開発能力、スピード、いずれも課題が多い。
 ただしブロックやオーバーテイクなどの戦闘力はそこそこの物を持っていると感じた。

 対同僚クビサは予選2勝17敗、決勝2勝16敗、クビサがQ3を落としたのはアブダビGPのみだが、ペトロフがQ3を通過したのは5回のみだ。ルノーは対同僚対決で最も差がついたチームとなった。

 少々クソミソに書いたので少しフォローを。
 この方成長曲線が少々緩い。GP2時代も2007年に参戦して花開いたのは2009年である。
 もう少し待てば2009年のGP2時代のように落ち着いたレースができるかもしれない。
 この方もワーストというには可哀そうな気もするが、この結果ではそう書かざるをえないかも。

ボクの勝手な判断なので、気に障ったらごめんなさいとしか言いようがない。
激動の2010年だったが、来年は果たしてどうなるか?
今年以上に面白いことは間違いないだろう。

とりあえず今年一年お疲れ様でした。
来年もよろしくお願いします。

☆ 【F1 Club】のアドレスは下記の通り
http://cubicm.blog54.fc2.com/

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