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新参チーム却下は、改革の一歩

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2010年9月17日
cubic-m
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9月8日、FIAは13番目の枠に新チームを入れない方針を述べた。
ほんの数行のアナウンスだが、これは非常に奥の深い話だ。

まず、昨年FIAは新チームを募集した。選ばれたのはマナー(現ヴァージン)、カンポス・メタ(現HRT)、USF1の3チーム。同年7月にBMWが撤退を表明。
チームであるBMWザウバーの2010年参戦が流動的となり、その枠を埋めるべく9月にロータスが選ばれた。その後トヨタが撤退し、ザウバーの参戦が認められたため彼らは13番目枠に入る。
これで参戦枠が全て埋まったが、結局USF1が参戦を断念。彼らの枠である13番目のチームを新規チームで埋めようとしていたわけだ。
この新規チーム参入を計画したのは当時FIA会長のM.モズレーである。
モズレーは、昨今の経済危機を考慮して予算制限制案を提出。年間予算を4,000万ポンド(現レートで53億7,500万円)とし、これを飲むチームと飲めないチームとで大幅な技術格差を生もうとした。
これにより高騰するF1チームの支出を抑え、新チームの招聘を考えたが(それともう一つ、口うるさくいつまで参戦するか分からないメーカー勢を追い出そうとしていた、と言われている)これに乗ったのが上記新参チームである。

もう一つ付け加えるなら、新参チームはメーカー撤退後のカードだったといえるかもしれない。モズレーとしては、メーカーがいなくても、新規に参戦したいチームはたくさんあるということをアピールしたかったわけだ。

このモズレーの強攻策にメーカーの組合であるFOTAが猛反発。
メーカー主体による新シリーズ立ち上げまで話が持ち上がったが、結局モズレーの引退と予算制限制の撤廃で話がついた。 この件についてモズレーとFOTAの政争と捉えられているが、別の側面から見るとヨーロッパ式のF1改革争議ともとれる。
モズレーはモズレーなりにF1の将来を懸念しての行動だし、メーカーも同様である。
なんだかモズレーのみが悪人のような表現も多いが、それは間違いだとボクは思う。
セナが事故死した後、安全性を巡り舵を取り、肥大化するメーカーと渡り合ったモズレーの手腕は評価するべきだ。

だが、この狭間で完全に割を食ったのが新チームである。 F1分裂騒動でFIAの認可が遅れ、マシン開発に大きな支障をきたした。また予算制限を見越して参戦したのに、結局はそのまま。
新チームは予算確保に奔走しなければならくなった(また新参エンジンであるコスワースを使わないと、参戦を認められなかったというウワサもある)。
新チームの中でまともに予算が確保できたのはロータスのみ。
マナーはヴァージンに買収され、カンポス・メタは創設者エイドリアン・カンポスが、資金難のため筆頭株主であるホセ・ラモン・カラバンテにチームを身売りし、HRTと名称変更している。またUSF1は開幕直前まで資金を集めることができず、結局参戦を断念している。

このドタバタが、マシン開発に大きな影響を与えたことは否めない。2010年シーズンも残り僅かだが、彼らはテールエンダーでシーズンを終えようとしている。
また来季シーズンにおいてHRTは深刻な資金難がウワサされ、ヴァージンも費用対効果が認められないのなら、F1からの撤退も囁かれている。

モズレー退陣後、J.トッドが会長となった。来季に向けてエプシロン・ユースカディやJ.ヴィルニューブ+デュランゴ、ARTなど(ARTは申請後、取りやめを発表している)が手を挙げたようだが、いずれもトッド体制では認められなかった。
大きな理由としては、今回のような開幕直前でのドタバタを避けたかったというのがあるだろう。またFIAがUSF1のような経済基盤の全く見えないチームを選出したことに散々非難を受けたが、その反省も大きいように思える。

2010年規約というのは、大半がモズレーが会長だったときに決定されたものだ。だからトッドの政策は2011年以降に反映されるといっていい。
今回の新チームの不認可は、トッドのモズレー体制に対する“ノー”といえるだろう。 今後トッドは、モズレーのマイナスの財産をかき消し、F1のイメージ回復に努めなければならない。今回の新チーム不認可の件は、その一歩だとボクは思った。

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