エジプト北部、ナイル川のデルタに位置するアレクサンドリアの
沖合のファロス島には、かつて巨大な灯台があった。
建設者はプトレマイオス1世(在位=紀元前304〜前282年頃)。
アレクサンダー大王の側近で、プトレマイオス王朝を開いた人物だ。
この大灯台は、紀元前305年頃から20年の月日を費やして完成した。
石灰岩で造られた大灯台は、最低でも高さ120mの3階建て。基盤の一辺は約30mあった。
灯台内部には、ゆるやかな螺旋状の傾斜道が3階の灯火室まで続いており、
燃料はロバの背にのせて運んだとも、簡易エレベーターで運んだとも言われている。
使われた燃料は、樹脂分の多い木材説、鉱物性の油説など諸説あるが不明である。
古文書によると、灯火室には直径1mものガラスと透明石でできた巨大な反射鏡が設置されていた。
ここで灯された光の方向や強弱は、この反射鏡によって自在にコントロールでき、
50km先からでも識別できたと伝わる。
また、太陽光線を集めて反射させ、160kmもの遠方の船を焼くことが可能だったという。
残念ながらファロスの大灯台は、796年の大地震で倒壊し、
地中海に没した。
だが、1994年、海底から巨大な石材が発見されたことにより、
アレクサンドリアの海底から次々と古代遺物が見つかっている。
現在、これらが大灯台の遺構かどうかを確認する作業が続行中だ。
アレクサンドリア ファロスの大灯台
Google Earthの座標〈31°12'50"N,29°53'8"E〉