数々の超能力者が 自分の力を示す為にパフォーマンスを行い
トリックを見破られては散って行った 奇跡を信じ見ていた者は裏切られ続けている
しかし! この男は違った
彼のパフォーマンスは体に剣を刺すというシンプルなもの
もちろん体に刃物が突き刺されは苦痛を伴い 最悪の場合は死に至る
これだけを聞いた人は 何かのマジックだと思い「体を布で隠し布の外から剣を刺す」
などを想像するものだろう 超能力者を自称する者でさえ そうする者が多い
しかしこの男 ミリン・ダヨはそうしなかった
上半身裸の状態で剣を突き刺す 見た目は確実に剣が刺さっている トリックとは思えない
疑いの余地がない状態で 彼の体に剣が刺さり 反対側から切っ先が出ている
医師が剣を突き刺した状態でのX線検査を申し入れるとダヨは快く応じた
彼はこの現象を証明したかった訳ではないらしい 医師に行為の許可が欲しかったのだ
X線検査が行われた結果 ダヨの身体に剣が突き刺さっていることは もはや疑いようのない
事実であることが確認された 剣は確かに彼の幾つかの臓器を貫いていたのだ
ところがダヨには剣が突き刺さったことによる肉体的な影響も内臓へのダメージも
見受けられない 結局医師たちは検査を終えても首を傾げるばかりだった
しかも検査後 助手が剣を抜くと大量出血を予想していた医師たちが驚愕した
出血全くないのだ 医師たちの前で奇跡は確実に起きた だが ダヨにとってはごく当たり前の現象だった
またダヨの能力はこれだけではなかった
度々 亡くなった人を見ることがあり スケッチにもおさめている(面識のない人の場合もあり
生前の写真とスケッチが瓜二つだった ダヨはデザイナーで絵に心得があった)
その他には遠隔視 治癒能力 身体の非物質化などがあった
彼の体には何が起きていたのか 彼に突き刺さった剣をぐりぐり回したが 彼の体は
傷つくことがなかった 直径8cmのパイプを刺したこともあった そのパイプに水も通した
沸騰した湯で 体を洗う事すらできた
→後編へ続く