日本でも最近注目を集めている景観。
美しい景観を守ることは、街の魅力を高めることにつながります。
ヨーロッパでは景観を極端に変化させることを嫌います。
このため、自治体によっては自宅を改装するだけでも
市役所への届出が義務付けられていることもあり、
この場合は市役所からの公示で周辺住民に知らせた上で、
意見がある人は申し立てを行なえるような仕組みがあります。
その結果、多くのヨーロッパの都市では昔からの街並みが残され、
チェコのプラハのように街そのものが世界遺産に指定されている場所もあります。
フランスのパリは外観をできるだけ以前のままに残すことを求められているので、
外観の壁だけを残して中身を新しくするケースもあるようです。
また、建物の高さを制限することも一般的に行なわれています。
むやみに高い建物を建築すると、景観のバランスがとれなくなるからです。
だからといって全く規制してしまうのではなく、
例えば交通の要所などに高層ビルの建築を認めて、
それをランドマーク(街の目印)として活用することもするのです。
さらに新しく開発される一戸建ての分譲地でも、日本とは違って
似たような建物を集中的に建築する、ということがよく行なわれています。
個人の邸宅の個性をなくすことが、逆に街の個性を引き立てるという、
日本ではあまり考えられない発想がヨーロッパにはあります。
観光を楽しむ時に、何が強く印象に残りますか?
それは単にひとつの珍しいものを見ることだけではないはずです。
いつもとは違う雰囲気を、何気なく味わうこと。
それが旅の醍醐味なのかもしれません。