前回の「有機野菜は安全か」ををご覧になって頂き、ありがとうございます。 標題の法律(日本農林物資の有機農産物)の有機農産物と、一般の人、農家が言う有機農産物は、違っていることが多々あります。その違いで最も大きい違いは、一般的に言う有機とは、農家が野菜やお米を作る時に、自分が農薬や化学肥料を使わなければ有機農産物と認識しています。 しかし平成11年に国際規格委員会(コーデックス委員会)というところで、貿易の不平等や消費者の健康保護を目的にしている国連の下部組織と言ってもいいと思いますが、そこで、有機食品(農産物や加工食品)の定義とルールが定まりました。ほとんどの国がこの委員会に加盟し、日本も勿論、加盟しています。そのため、この定義とルールに従い、日本では、平成12年に有機JAS法(日本農林物資の有機農産物の規格)が食品表示法(JAS,良く食品についているマークです)に盛り込まれました。 そのときに、海外の有機とは、自分が農薬や化学肥料を使わないことは当たり前ですが、隣の畑や牧場で使用している農薬や化学肥料が飛んでくることもいけない。
風によって農薬がはこばれてくるようなところの畑では、農家自身が有機栽培をしているつもりでも、飛散して農薬の汚染をうけるので、その農産物は「有機とは言わない」という認識なのです。 この点が、平成12年まで日本の大半の有機農家では認識されていないことでした。今でも認識していない農家も。これは、海外の広大な面積で、周りから汚染の受けない海外の畑と、日本のように狭い面積で、隙間もなく、自分の有機の畑と隣で農薬をまく畑がくっついている日本の土地条件の違いにもあります。その有機の解釈の違いが、例えば、ニュージーランドの有機キウイと、日本独自の農薬が飛散しているかもしれない有機キウイを、同じ有機農産物(オーガニックも同じ)として、お店でいっしょに並べて、販売することは、貿易の不公平で、消費者にも不利益を与えるということが、コーデックス委員会で議論され、有機の国際基準が採択され、その翌年に日本も法制化したという背景です。
そのため、現在では、有機農産物と表示するには、有機JASマークをつけて、有機農産物であること野菜やお米に表示しなければなりません。コーヒーなどの加工食品も同じです。そのためには、上記の下線部分の農薬の飛散問題や、種や苗、農地の条件などさまざまな問題をクリア−して、自動車免許のように、有機をしている農家として、認定を受けたり、農地の検査や農産物の扱いの検査設ける必要があります。もちろん、費用や労力など、いろいろな課題が農家にはあります。 ということで、消費者にこれは有機農産物ですよと言って、不特定多数に販売する場合は、有機JASマークと有機農産物という表示がないと、法律違反で罰則があります。 ただし、農家が直接、消費者にこれは有機栽培だよ、と言って販売するのに、口答(お話し)だけの場合は、有機JASマークがなくても、実際に有機農産物でなくても、この法律には関係しないという矛盾点もあります。つづく、