通常のサスペンションは、道路の凸凹を受けて動いています。これが「パッシブサス」といいます。
これに対して「アクティブサス」は、ダンパーの油圧をコンピュータで制御することにより、路面とマシンの間隔を一定に保つことにより、ダウンフォースを獲得するサスです。
1987年に「ロータス99T」が初めて採用しましたが、機構が複雑だったため信頼性がなく姿を消しました。
しかし1992年より、ウィリアムズが名車「FW14B」にてアクティブサスを復活させました。(1991年最終戦から搭載 正式名称は「リアクティブサスペンション」)
ニューウェイがデザインする車はピーキーな面があり、路面が良くないサーキットでは自慢の空力が逆に作用してしまい、非常に不安定な面がありました。
しかしこのリアクティブサスにより、空力的にも非常に安定した車になり、実力をフルに発揮することができ、当時のドライバー「ナイジェル・マンセル」は16戦中9勝し、ワールドチャンピオンを獲得します。
オンボードカメラで見たマンセルのドライビングは、まるでクルージングをしているようなスムーズさでした。
また、この年にはロータスでシーズン途中で投入した「ロータス107」で元祖のアクティブサスを再登場させています。
翌1993年にはアクティブサスはマクラーレンも搭載し始めます。技術提供を受けたフットワークで、鈴木亜久里が突然早くなったりもしました。
しかしウィリアムズFW15を駆る「アラン・プロスト」がワールドチャンプの座を確保しました。
この年を最後にアクティブサスは、空力ツールとみなされ禁止されてしまいます。
その他にもハイテクと呼ばれるツールが次々と禁止されました。
1994年このハイテク禁止がなければ(そもそもその他安全性に不安はあったが)、エンジンパワーだけの不安定なマシンに乗ることなく、「ラッツェンバーガー」やあの「アイルトン・セナ」の死亡事故はなかったのかもしれません。