他のヨーロッパ諸国同様、イギリスでもトラムと呼ばれる
路面電車の復権が進んでいます。
今回はイギリス第2の都市・バーミンガム(Birmingham)の例をご紹介します。
バーミンガムには「ザ・メトロ」というトラムがあります。
バーミンガム・スノーヒル(Birmingham Snowhill)から、
隣りの市であるウォルバーハンプトン(Wolverhampton)までを結んでいます。
一般的にメトロは地下鉄を意味します。
メトロポリタンという名前からメトロと呼んでいる
本家本元のパリを代表格に、アメリカのワシントンDCや
ブラジルのブラジリア、そして我が日本の東京でも
地下鉄をメトロと呼んでいます。
しかし、なぜかバーミンガムでは路面電車に
メトロの名前をつけているのです。
この路線には大きな特徴があります。
実は路面電車ではあるものの、路面の区間は
ウォルバーハンプトン市内の一部の区間だけに過ぎないのです。
他の区間は専用軌道を走るのですが、
実はこの軌道、もともとは旧英国国鉄の
廃止された路線を流用しているのです。
一般の鉄道では駅間距離は比較的長くなっています。
特にイギリスは日本に比べても長めです。
このため、廃止された路線を再生するにあたっては駅を停留所にした上で増設し、
さらに路線を電化した上で、通常の鉄道よりも小型である
路面電車スタイルの車両を導入して増発するという手法をとったのです。
この手法、日本にも事例があります。
JR西日本が運営していた旧富山港線を、
停留所の増設と路面電車スタイルの車両の導入、
そして一部区間を路面区間の走行に変更するという形で再生した
富山ライトレールが好例となっています。
バーミンガムのザ・メトロは沿線に観光資源がないので、
わざわざ乗りに行く日本人はほとんどいないと思いますが、
鉄道路線の再生の代表的な成功事例ですので、
まちづくりのあり方を考え直すことができる
いいお手本ではないかと思われます。
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