「揺れが大きい」「軽くて扱いにくい」「ビーチボールのようだ」などと
各国の選手から不評を買っているワールドカップ公式ボール「ジャブラニ」について、
メーカーのアディダス(ドイツ)の日本法人の担当者が
「以前のボールと差があるのは事実。慣れるには時間が必要だ」と弁明した。
ジャブラニは、「蹴ったインパクトが正確に伝わるボール」が開発の理念。
大幅な改良を加えた半面、「揺れ」や「軽い感覚」という副産物も生まれた。
このボールはパーツの枚数を、前回の公式球の14枚から8枚に減らしており、
硬い接ぎ目が大幅に減少。
けりやすり「スイートスポット(接ぎ目以外の部分)」の面積が75%拡大した。
パーツの数を減らし、凹凸の少ない真球に近づけたことで「揺れ」は大きくなった。
同社の実験でも、ボール近くの気流が左右で異なり、安定しない結果となった。
この為、表面に「空気の通り道」となる溝を設けて軌道の安定性を改善した。
担当者は「まったく予測不可能な軌道にすることは避けたかった」と話す。
「軽さ」に関しては、ジャブラニの実際の重量は約440gで
国際サッカー連盟の公認範囲(420〜445g)の中では重い方。
同社は、スイートスポットの拡大により、軽く脚を振っても力が伝わって
早く進むため軽く感じるとみている。
野球のボールも芯に当たれば軽く感じるという。
同社はこうした変化を認めた上で「時間が問題を解決する」と考えている。
現在、ドイツ以外のヨーロッパ主要リーグではジャブラニを使用しておらず、
慣れていない選手から不満が出たとみられる。
担当者は「揺れを生む無回転キックも選手の努力のたまもの。ワールドカップでは
彼らの技量が忠実に反映されることを願っている」と語っている。
ちなみにジャブラニは17,000円程度の価格で発売されている。
【中日新聞参照】