幕末の英雄坂本龍馬は、生涯でふたつの銃を手にしている。
ひとつ目の銃は、高杉晋作から上海みやげとして贈られ、
のちに自らの命を救うことになる「スミス&ウエッソン社製・第2型アーミー」と
呼ばれる32口径の6連式ピストル(写真上)である。
龍馬は、この全長25cmのピストルを肌身離さず持ち歩き、
寺田屋事件では、実際に使用して難を逃れたが、逃走中に紛失してしまう。
次に手にした銃は、薩摩藩から妻おりょうと龍馬にそれぞれ贈られたといわれる
「スミス&ウエッソン社製・第1型1/2ファースト・イッシュー」と呼ばれる
22口径の5連式ピストル(写真下)。
龍馬は、姉・乙女への手紙の中で、最初のものに比べて、
かなり小ぶりである全長17cmのこの銃のことを
「懐剣より小さいが、50間(約90m)離れていても人を撃ち殺すことができる」
と述べている。
このピストルは近江屋で龍馬が暗殺された際、
引き金をひかれることなく、その遺体のそばに転がっていたという。