ヨーロッパに行ってお土産を選ぶとき、
果物とかチューリップの球根などを買って
持って帰りたいと思う方も少なくないと思います。
でも、何気なく買うこれらの生の植物類や果実には、
日本の農業に打撃を与えかねない害虫や病原菌が付いている場合があります。
このため、各国は植物防疫を行なって、自国の農業の保護に努めています。
植物防疫の最前線で何が行われているか、を知るために
Seaviewは先日、名古屋植物防疫所中部空港支所主催(写真左)の
「見て!聞いて!植物防疫」に出席しました。(写真右)
その時に習得したことをここでご紹介しようと思います。
もし、植物防疫が行われなかったら、どういうことが起こるのでしょう?
意外にもヨーロッパのアイルランドに事例がありました。
1840年代、大西洋を越える貿易で、アイルランドにアメリカから
アイルランド人の主食のジャガイモに害を与える
疫病が持ち込まれ、蔓延してしまいました。
その結果「ジャガイモ飢饉」と呼ばれる深刻な事態が発生し、
100万人が餓死、さらに100万人が国外移住をせざるを
得ない状況に追い込まれてしまったのです!!
アイルランドが貧困にあえぐ状態はすぐには解消せず、
19世紀の終わりになっても移民が続く状況でした。
貧しい農民が地主に反乱を起こしたことがきっかけで
アメリカへの移民を決意した若い男女のストーリーが
映画「遥かなる大地へ」(1992年)として描かれています。
トム・クルーズとニコール・キッドマンが共演した映画で、
アイルランドを代表する歌手エンヤ(enya)の主題歌と共に
日本でもヒットした名作映画です。
この映画のストーリーの要因であるアイルランドにおける貧困が、
ジャガイモの疫病による飢饉にあることが分かるだけでも、
いかに植物防疫が大切なものなのか、お分かりいただけると思います。
植物防疫所では、害虫の見本も展示されていました。(写真中)
その中には信じられないほど小さな虫も多かったのです。
このため、検査には植物の異常を瞬時に察知する能力と、
何が原因なのかを突き止めるための細心の注意が払われていました。
それほどのことをしないと、日本の農業を守れないからです。
では、ヨーロッパ旅行をするにあたって、
植物防疫のために旅行者は何を気をつけたらいいのでしょうか。
具体的な話は
【後編】でご紹介します。
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