コートには意外と、軍隊に起源をもっていたり、軍に縁のあるモデルがあります。
まずピーコートですが、これはイギリス海軍が艦上勤務で用いていました。今でも錨を描いたボタンが使われるのはこのためです。なお、前のあわせを左右どちらにも切り替えられるように作られていますが、これは冷たい波しぶきや風雨を避けるための工夫です。
ダッフルコートもイギリス海軍で用いられたことで広がりました。もともと北欧などの漁師が着ていたのですが、第二次大戦中に英軍でも採用されています。こちらも前のあわせを切り替えられますね。
第一次大戦が生んだコートと言えば、やはりトレンチコートが有名でしょう。「トレンチ」とはすなわち「塹壕」のこと。長い塹壕戦に対応するための外套がトレンチコートです。
肩のストラップは水筒などのベルトをとめるため、前身頃のあて布は小銃のストックですり切れないように、そしてベルトのDリングは手榴弾を下げるために設けられています。
この冬にこれらのコートを着るときは、ちょっとそんなことを思い出してみてはどうでしょうか。