冷戦のころ、「フィンランド化」という言葉がありました。
資本主義国でありながら、ソ連と協調していたフィンランドを揶揄する言葉です。
しかし、あの小国がソ連から独立を守りとおしてきたという歴史的事実を考えれば、その言葉が表層しか見ていない者のそれだとわかるでしょう。
フィンランドの独立から第二次大戦に至るまで、フィンランドは一人の英雄によってたびたび救われました。
名はグスタフ・マンネルヘイム。日露戦争では、ロシア軍騎兵将校として参戦しています。当時はまだフィンランドはロシア帝国領だったのです。
その後、ロシア革命のなかでフィンランドが独立を果たすと、今度はソ連の支援を受けた赤軍と戦い、これを破ります。
第二次大戦直前、スターリン率いるソ連はバルト三国を事実上併合するなどの拡張主義を示しました。そして、ソ連はフィンランドに侵攻します。いわゆる冬戦争です。この時、フィンランド政府はマンネルヘイムに再度国運を委ねます。
フィンランドは一部国土を割譲しながらもソ連と講和、独立を維持します。
ついで、ドイツとソ連との戦いが始まると、奪われた国土を取り戻すべく新たなフィンランドの戦いも始まりました。これが継続戦争です。
ご存じの通りドイツは破れ、窮地に陥ったフィンランドは再びソ連と講和します。つい先日までともに戦ってきたドイツ軍に銃を向けるなど苦渋を飲みながら、です。
このときも、マンネルヘイムはそれらの決断を下しました。
「最後まで戦う」というのも立派なものですが、母国を守るためならあらゆる辛酸に耐えると決断したマンネルヘイム、そしてそれに従ったフィンランドもまた見習うべき存在だと言えるでしょう。
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