イランはカスピ海を挟んで旧ソ連と接する位置にあります。産油国でもありますから、この国がどの陣営に与するかは大変重要です。それゆえ、1979年のイラン革命以前、アメリカは強くこの国のパーレビ(パフラヴィー)王朝を後押ししてきました。
軍事面でもそれは顕著でした。
例えば、長らくアメリカ海軍航空隊の主力戦闘機をつとめたF-14<トムキャット>すらイラン空軍は保有していました。<トムキャット>は、この例を除いて一切他国に提供されていません。
また、<キッド>級ミサイル駆逐艦ももともとはイラン海軍向けとして建造されています。<キッド>級は当時、イージスシステムを備える<タイコンディロガ>級ミサイル巡洋艦を除けば、世界最強クラスの防空艦でした。
なお、<キッド>級は米軍を経て、現在は台湾海軍の主力となっています。
またイギリスの<チャレンジャー>戦車も元来、イランが発注した<シール>2戦車に起源があります。<チーフテン>戦車のエンジンやトランスミッション、そして装甲を強化した<シール>2はイラン革命にともないキャンセルされてしまい、その救済策として自国の主力戦車となったのです。
なお、イランの<トムキャット>はイラン・イラク戦争でも実戦に参加しています。