セルゲイ・ベリヤコフさん
原子力発電所で深刻な事故が起きると 高い放射線量が計測される場所に飛び込み素早く
任務をこなす「ジャンパー」と呼ばれる男たちがいるそうです
東京電力も今回の福島第1原発事故の処理作業に当たるジャンパーの募集を始めたそうです
1986年4月の旧ソ連・チェルノブイリ原発事故(原子炉爆発)の処理作業に当たった
ジャンパーがロイター通信にその「地獄の体験」とこれから福島に向かうジャンパーたちへの
アドバイスを語りました
ウクライナ系米国人の科学者セルゲイ・ベリヤコフさん(55)は86年7月から8月の40日間に
事故後のチェルノブイリに滞在し この間ジャンパーとして23回現場に出撃しました
そのうち6回は退却が遅れて地獄の入り口を見たと語っています
チェルノブイリではこういったジャンパーが800人 動員されました
この度 福島でも10人のジャンパーが募集されています 求めているのは原子力産業の
経験者で日給5000ドル(約42万)と発表されています
ベリヤコフさんは陸軍で化学兵器の処理を学んでいたこともあり「義務感から事故処理を
志願した」と言います 主に石棺作業に従事したとのことですが
「被曝線量の上限は240ミリシーベルトに定められたが 誰も守れやしなかった
40日間ほぼ1日おきに作業して この数値を守ろうとしたら せいぜい1日2分ぐらいし
か働けない 現実を無視したお題目だけの上限設定だった」
「数十人いた同じ作業班のメンバーで 知っているだけでも5人がその後10年以内に
40歳を前にして死亡した 今こうして自分が生きていられるのは神の恵みとしか思えない」
と振り返ります
そして今後福島原発へ飛び込むジャンパーたちへアドバイスをおくっています
「一歩一歩でいいから勇気を振り絞ることだ そして勇気とは自然に備わったものではない
状況を熟慮し何を成すべきかを論理的に考えてこそ生まれる 臆病風やヒーローになろうと
する思いも敵と心得るべし」
「私はチェルノブイリでの40日間プレッシャーを朝食代わりに“食べて”いた
これくらいの胆力がないならジャンパーは務まらない」
使命感から危険を顧みず 地獄の淵に飛び込んだ偉大な男の助言を どうか活かしてもらいたいです
(ロイター通信より抜粋)