アメリカンレザーワークをご存知だろうか?
アメリカンレザーワークは今、世界中に溢れているアメリカの伝統工芸で、元はと言えばアメリカのサドル職人の技法を用いて作られた革製品全般を指すものだが、他国の革製品とどう違うのかと言うとまず皮の厚みではないだろうか、ヨーロッパでは一般に薄くて軽くてやわらかく、お洒落な事を上質と感じるのに対して、アメリカの開拓者たちは丈夫である事が第一で使いやすさは、使う人の手入れと使い方に委ねられ、尚且つ改造修理が容易な作りとする事で更に長持ちを目指すのであるが、お洒落じゃない、そこでカービングである、カービングの始まりはカウボーイが自分のサドルにナイフでキズを付け模様を描き始めた事だと言われている、その後拳銃などで叩いて凸凹を作ったり模様にしたりして発展しサドル職人たちもこの装飾を競い合い専用の道具をそれぞれが作るまでになった、描かれる模様は草や花の連なりで、カウボーイたちの生存、成功と繁栄を求める夢の象徴だった、当然孤独なカウボーイたちはセクシーガールも好んだが、単に猥褻なのではなく、理想と夢を求めた男たちの結婚、定住、幸福への願望である、が、伝統工芸となった今は、自粛した様である、植物では、荒野でも逞しく健気に咲く花ワイルドローズ、タンポポ、つくし、山火事でも死なないオークリーフ&Aコーン(柏の葉とどんぐり)松ぼっくりなどが好んで描かれた、その他には、フィギュアと言って馬やバッファローなどの動物と風景である、そうそう、バスケットも忘れてはいけない、カウボーイたちのランチボックスをモチーフにした籠目模様、そして図案の枠としてボーダーと言われる模様も、独特である、また独特の色合いにも理由がある、が、ここは書けない、全世界の皮職人に取っての秘密だからである、師匠から、門外不出の条件で伝授されたり、自らの努力で到達した秘儀である、が簡単に言うとカウボーイたちはテレビも何も娯楽がなく仕事が終われば道具の手入れをしながら酒を飲み凍てつく荒野で眠るのである、、、、また、開拓時代の西部では、今で言う自動車販売店の様にそれぞれの町に何軒か皮屋(サドルショップ)が有ってお客さんにこんな物をこんな風にと注文されて作っていたので、同じ物だけ沢山作る工場の様ではなかったが得意な物が評判になり定番商品になる事は有った、その為、元はサドル職人だが、ガンベルトだけになるとかかばん屋さんなると言った特化はしばしばで、ビトンやエルメスも元はサドル屋だったらしい、ちなみに、ビトンがブランドに成れたのは皮染色の安定性を向上出来た為らしいから、やはり秘儀である、そんな訳で夫々のメイカーに技法やデザインがあるのだが、このへんで、共通点をまとめると、サドル職人が分厚い皮で作るので、シンプルであり、分厚いままでは縫えないので、縫い合わせ部分の皮を剥いて(薄く削る事)いて、カービングやウェスタンラインによるカットと言った装飾で、重厚な皮道具なのである、道具と言ったのは設計思想が道具であってファッションでない為、ファッションの部分が色やカービングやカットデザインなどである。
本物?偽物?
偽物について耳にする事があると思うが、ここでついでに説明しておこう、本物とは上記のような物で、職人の作った手作りによるものであるのに対して偽物は、マシーンメイドである、例えばミシンで縫われているとか、カービングが実は型押しによるプリントとかであるが、エアブラシによる染色は、染色の秘儀に抵触せず、手でやっても大方同じなので、本物といえる、ミシンがだめな理由は糸の通り方自体違うし蝋引き糸は皮に油をいれる意味もありナイロンとは違うなどである、又、パートのおばちゃんが作ってるってのはどうかって言うと、半分ありで昔から職人には弟子がいて簡単なところは弟子がやっていた、でも殆どおばちゃんが作ってるなんてのは論外だ、でも、だったら、トニーラ?やジャスティ?はって言われるとハッキリ言って偽物、カウボーイの時代が終わり自動車時代になって皮屋がバタバタ倒産する中さっさと機械化して薄利多売をはじめて、ほんとの職人に追い討ちをかけた、成功者たちである、ユニク?みたいなもんで、安くてかっこいいからみんな大好きで有名ですが、、、、って事です、ってここまで書いちゃうと日本の有名レザーアーティストたちも、オイオイお約束守れよみたいに、怒っちゃうと思うけど、みんなが、レザーワークを理解してくれれば、値段も納得して貰えるだろうし、そうなれば、儲かる物じゃなくて、ホントニ作りたい物が作れるじゃないかと思うんだ、その時はみんなが胸を張って俺達は皮職人だって言えると思う、俺達は伝統工芸職人なんだぞ!って、でも、そろそろ言いたい事いったので、今度フォローしときますけど、これは、アメリカンレザーワークの話で、ウェスタンと言う広義に措いては、何でも本物のウェスタンですし、ユーザーにとってはウェスタンはウェスタンだし皮は皮です、あくまでもマニアのこだわりでしょう。
ウェスタン道場なのに、ウェスタンのあいまいさを露呈してしまった、、、、でもこれも、21世紀のウェスタンのありのままの姿だと思う。