では、「認知症の予防」という観点でいうと、いつ頃から歯周病に注意すればいいのであろうか。
アルツハイマー型認知症の高い発症率を示す年齢層は、70歳代である。しかし、アルツハイマー型認知症の原因物質であるアミロイドβの脳への蓄積は、発症する10〜15年以上前から始まっている。そのため、認知症の発症予防のためには、遅くとも50歳代で歯周病がコントロールされていなければならない。
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そして、アルツハイマー型認知症において歯周病が問題となる理由が、実はもう一つある。それは、虫歯もそうだが、歯周病により、「歯を失う」という状況が生じることだ。歯の機能は、食べるという咀嚼機能だけではない。
物を「噛む」という行為による脳への刺激が、脳の活動において極めて重要なのだ。
例えば、高齢者において、残っている歯が少ないほど、記憶や学習能力に関わる海馬、意志や思考の機能を司る前頭葉とよばれる脳の一部の容積が小さくなることが分かっている。つまり、歯を失い物が噛めなくなると、脳への刺激が減少して脳の働きに影響が生じ、その結果として、アルツハイマー型認知症のリスクが増すのである。
以上のことから、アルツハイマー型認知症の予防において、歯周病予防がいかに重要であるかがご理解いただけたことと思う。
日本のように、一般的に医療が進んだ国においては、長生きすることはできる。しかし、身体的、精神的に健康な状態で長生きできるかどうかは、また別の問題だ。認知症の場合、命としては長く生きられるが、満足のいく幸せな生活かどうかを考えると疑問が残る。幸せに長生きする為にも、定期的な歯科への受診と合わせて、日々丹念な口腔ケアを行っていただき、歯と口の状態を健康で良好に保つことを心がけてほしい。
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