まにあ道モバイル

ポケットビリヤード道場

手玉の動き(ヒネリ編)(6)

たいし
2010年7月16日

閲覧数:61340回

今回は左右の撞点について考えてみたいと思います。今までのネタの中でしつこいほどストップショットにこだわって解説や練習方法をご紹介して来ましたが、左右のヒネリについては全く触れていません。左右の撞点を撞いたときの動きを理解することでストップショットの重要性についてさらに理解が深まると思い今回はあえて取り上げることにしました。

まず、基本的な動きについて検証します。


これは上からみた図と考えてください。手玉の左側を撞いています。いわゆる左ヒネリという状態ですが、このときキューは黄色の線に従って真っ直ぐに出すものと仮定します。中心を撞けば手玉は赤のラインに従って真っ直ぐに動いてくれますが、左側を撞いたことにより左右で手玉の重さのバランスが崩れます。

従って手玉は赤いラインを走らずにヒネリとは逆方向の右側に進路を取ります。このことをトビと呼びます。トビは撞点、ショットスピード、ラシャの状態、手玉の状態、そしてキューによっても変化します。どれくらいのトビが起きるのかを予測するのは非常に難しいと言えます。そして、ヒネリを加えるとさらに別の現象も発生します。



左回転を与えられた手玉は本来の進む方向より右側に走り出し、そして今度は回転とラシャとの摩擦によりゆるやかに左方向へとカーブを描く軌道で進みます。このカーブの出方も様々な要因によって異なります。

そして、このトビとゆるやかなカーブを合わせた動きのことを一般に見越しと呼びます。

すなわち、左右の撞点を使う際にはどれくらいの見越しが起きるかを判断し狙い点(もしくはキュー方向)を変える必要があるということになります。上級者が一見簡単な配置を外しいている場面では多くの場合この見越しを間違えたことに起因していると言っても過言ではないと思います。

そこで話を戻して中央の撞点を撞く重要性です。中央の撞点の場合キューの方向と手玉の進む方向は一致するはずです。すなわち狙ったところに当てやすいということになります。

そして、ストップショット1/2で書いた「ポケットするかどうかは気にしないでください」という事にも関連して来ます。同じ配置を同じ力加減で撞いていると仮定すれば仮に左右の撞点を使ってもポケットされてしまう場所がある。ということになります。これはその場所、その力加減、その撞点でしか出来ないスペシャルショットに過ぎません。すなわち、ほかの場所では通用しないということです。それでは練習になりません。

ひとつ例を出してみましょう。下の図で1番をポケットしたいと思います。


こういうアドバイスをしているのを聞いたことがありませんか?
「1番に真っ直ぐ構えて手玉の左側(狙うポケット側)を撞けば良いんだよ」

中心撞点で真っ直ぐに構えれば1番は当然外れます。でも、左に撞点を移すことでトビが発生し、手玉は1番の右の方向へ進路を取ります。距離も短くカーブの影響は軽微と考えられますので手玉は1番の右側にヒットしポケットの方向に向かうはずです。でも、これは狙ったことになるでしょうか?確率がいくらか良くなるようにしただけで偶然性に頼ったショットだと言えます。

実はこれと同じことが1/2の練習などで発生することがあります。すなわち癖で右(もしくは左)を撞くようになってしまっているとポケットすることに執着することで偶然ポケットされる場所を見つけてしまう訳です。だからこそストップショットで全く回転の無いストップショットを最初にたくさん練習して下さいとお願いしたという訳です。

上級者は手玉をコントロールするために見越しを考えながら狙った場所にヒットさせる技術を持っています。でも、これは一朝一夕で出来ることではありません。ヒネリを使ってのポケットはB級上位もしくはA級になってから覚えても決して遅くないと思います。背伸びして悪い癖を付けてしまうよりも上中下の真ん中付近の撞点をきちんと撞ける技術を体得するのが上達への近道だと思います。

では、初心者はヒネリは使ってはいけないのか?というと使う場面もあります。


上図のようにヒネリを加えるとクッションに跳ね返った後にヒネリを入れた方向に手玉が跳ね返って来ます。以前ご紹介したミラーシステムは中央撞点を使うものでしたが、こんな場合はどうすると良いでしょう?



ナインボールで1番に当てる必要があります。ミラーシステムを使えば黒のラインで目指さなければいけませんが、ここには4番があって邪魔です。そこで4番ギリギリを通して左ヒネリを使います。ここでは入射角より反射角が広くなりますから、赤の矢印のラインを通ることになります。

ここでのヒネリは良く言えば経験、悪く言えば勘です。でも、ポケットすることが目的ではなく当てることが目的ですから最大で約ボール2個分の誤差が許される訳です。(赤の2本の矢印分の誤差が手玉の左右で許されます)

このようにセーフを取るときなどにはヒネリも有効な方法ですので覚えておいて損はありません。でも、先玉をポケットしようとするときにはヒネリは出来るだけ使わないように心がけてくださいね。

前のネタ 次のネタ

このネタにコメントを書く!
ログイン

この道場にネタを書く!
投稿


コメント(6)
ももこ
2010年7月16日
当てる必要がある時だけヒネリ使ってます♪
ボール2個分の誤差があるから当てれるのかぁ〜

たいし
2010年7月18日
当面はそれで良いと思いますよ。慣れてくれば見越してポケットすることも出来ますし、クッションからのヒネリも精度を上げてポケットを狙ったり、セーフティに行ったりすることも可能ですからね。

2個分の誤差とネタ中には書きましたが実際にはもっと誤差が許されます。ただ、クッションに当てる部分で言えばそれくらいが妥当だろうということで2個分と書いてます。

クッションを使うときの基本は向かわせたい方向にヒネるですね。

ゴリツァ(`O´)o
2010年7月19日
経験がいっぱい必要ですよねー
何度も何度も練習して「身につけ」ないといけませんね

僕もクッションで多少使う程度で 失敗してもなにが悪かったか分からないのであんまり多用することができません

たいし
2010年7月19日
そうですね。将来的には絶対に必要なテクニックですがやはり経験が大事です。そしてネタでも触れていますがキューによる見越しの違いも大きいのでやはり毎回違うレンタルキューよりも自分のマイキューを購入すると良いですね。

最近は見越しが非常に小さいハイテクシャフトというシャフトと搭載したモデルもたくさんあるので以前よりヒネリに対するハードルは下がっていますね。

そして、ヒネリに対して大きな誤解があるのはたくさん回転させるには端を撞かなければいけないというものです。中央付近で僅かに左右に撞点を変えただけでも回転は付きます。中央に撞点が近い訳ですから見越しは小さいはずです。すなわちあまり狙いを狂わせることなく回転を乗せることが可能です。

この中央付近でより多くの回転を与えることが出来るというのが本当はヒネリが上手に使えるプレーヤーということなんだと思います。

すみれ
2010年7月21日
私もクッションで必要な時にだけ使っています。
ヒネリに挑戦するのは かなり先になりそうですが知識だけは持っておきます!

下から二番目の図のように、手玉をクッションに真っ直ぐ当てる練習をしていると
たぶん右側を撞いてはいないと思うのですが、よく右の方向へ跳ね返って来てしまいます。
おかしな癖をなくせるように練習がんばらなくてはいけませんねー!

次のコメント>>

ネタリンク
手玉の動き(基礎編)(5)
スポーツ

ポケット出来ない理由(4)
スポーツ

ボールの動き(基礎編)(2)
スポーツ


カテゴリ
スポーツ ミュージック
レジャー・アウトドア ホビー・ゲーム
エンターテイメント アニメ・漫画
グルメ ライフ
ファッション コンピュータ
学問・研究 ノンセクション


ネタを検索する

[*]▼ まにあ道TOP [#]▲

ログイン
まにあ道に新規登録(無料)
まにあ道とは
よくある質問
利用規約
プライバシーポリシー
お問い合わせ

maniado all rights reserved. 携帯アクセス解析