Jリーグでは、リーグ対戦の年間試合スケジュール作成システム「Jリーグ・マッチスケジューラー(通称:日程くん)」というものを利用しているそうです 2004年から実際にシステムで作成したスケジュールを採用していて 実用以前はスケジュール作成に2〜3週間かかっていた日数を1日に短縮し、業務の効率化を狙う画期的システムだそうです
日程くんは、人間の頭の中で判断していたロジックをシステム化したもので 様々な条件を見てスタッフの経験やノウハウを頼りに判断していた内容を、条件式に盛り込んだそうです
従来のスケジュール作成の手順はまず、大まかな日程を作成し、その予定に合わせ、各チームが専用のスタジアムのスケジュールを提出します そして集めた日程をJリーグが再びまとめ、チームの組み合わせの矛盾や移動スケジュールなどの条件を加味しながら調整していました チェックしなければならない条件は、「地元スタジアムと敵地スタジアムで実施する数に不公平が出ないように」「同じ地域で同日に別々の試合を実施し集客力を分散させないように」「雪で芝が傷むので、北陸地域のスタジアムでは3月には実施しない」など多岐にわたります これらの条件をすべて洗い出し、細かく分岐を作成していまいした
日程くんを導入して 人間が組む日程との大きな違いは「パターン化」が避けられることで 人間が対戦スケジュールを組む際、“ミラーリング”と呼ばれるテクニックが広く使われています スケジュールを前期と後期に分け、前期だけの対戦を決定し 後期はその前期の対戦の組み合わせで対戦チームのホームとアウェイだけを入れ替えたパターンにしてしまうことで効率化するものです この方法で組まれた対戦スケジュールでは、観客が既視感を覚えるゲームが増えるという問題があったが、最適化ソフトウェアを使うことで、こうした“パターン化”を避けられるようになったそうです
システムの開発は、アイログが担当し 様々な条件から最も適している項目を選択するために、同社の最適化ツール「ILOG CP」を使用しています 2003年からシステムの開発を始め、2004年12月にプロトタイプを作成しました その後、実際に運用しながら毎年見直しをしていったといます Jリーグ側の要件を満たす最終システムの完成まで約5年の歳月を費やし システム構築費用は2000万〜3000万円とみられています