北朝鮮の軍の特殊部隊にいたイム・チュンヤンという人の話がアルジャジーラの英語版サイトに載っていた。
それによるとこの人は1999年に北朝鮮を脱北した者で、北朝鮮の化学兵器工場では囚人(政治犯など)や身体障害や精神障害のある子供などを使って化学兵器の実験を行っているという。(少なくとも今から10年前以上の話なので現在は不明)
彼はこの事実を韓国に渡ってからも10年間近く誰にも言わずに黙っていたそうで、それほどまでに語るのもひどすぎる現実だったと言う。しかし今になり、ジョンイル将軍の健康不安説や北朝鮮の今後の雲行きがますます不透明になっており、そのために語る決心をしたそうだ。
このイムさんは1990年初頭に軍のキャプテンをしていたそうで、自分の娘さんに精神障害があったらしい。その娘さんが12歳になったときに軍から彼女のことをあきらめるように、さらに「最大の社会貢献をしなさい」っと言われるそうで、彼は自分の娘なのでもちろん反対して抵抗したそうだが、それでも軍上部からの圧力がかかり彼はあきらめざるを得ない状況になってしまったらしい。
そしてイムさんは自分の娘が連れて行かれるのを最後に見て、それっきり娘さんと会うことはなかった。
娘さんが連れて行かれたのは、北朝鮮の西海岸沖にある島の実験施設で、そのように連れて行かれた人などがガラス張りの部屋に入れられそして「有毒ガスを部屋に注入してどのくらいの時間で死に至るか」ということを実験する施設だったようだ。
イムさんだけでなく、他の脱北者の人や政治犯がこのような実験施設で殺されていると話す人もあるという。
現在、北朝鮮は5000トンもの生物化学兵器を所有していると見られており、その内容はサリンのような神経ガスからマスタードガス、炭疽菌やコレラ菌にまで多岐に渡ると見られているとのこと。
ニュースなどでも北朝鮮の核問題はかなりクローズアップされますが、そのような影で同じくらい危険な生物化学兵器の存在が隠れてしまうことが心配されており、武器の専門家によると北朝鮮にあるミサイルや大砲などの30%ほどが生物科学兵器を搭載することが出来ると見られており、2009年7月4日に発射実験が行われたスカッドERミサイルは射程距離が1000km程度と見られ、北朝鮮の東海岸から東京までが1160kmなので、日本の大部分が射程距離に入っている。
自分の娘が連れ去られるのを見たイムさんは、北朝鮮政府がそのような兵器を使うのを躊躇しないと言う。それほどまでにジョンイル将軍の冷酷さを見たということだ。
健康面で政権交代がささやかれるジョンイル将軍。どうなる北朝鮮、どうなる日本。