シルクロード交易が盛んとなり、経済も文化も栄華を誇った中国・唐の時代。そんな唐代には則天武后や楊貴妃など、日本でもよく知られる人物が少なくない。しかし、2017年に中国で大ヒットしたドラマ『
麗王別姫(れいおうべっき)〜花散る永遠の愛〜DVD 』の主人公、沈珍珠(しんちんじゅ)ついて知る人は少ないのではないだろうか。楊貴妃と同じく“安史の乱”で悲しい運命を辿った、悲劇のヒロイン沈珍珠とは、どのような人物だったのか?染谷将太主演の映画『空海−KU-KAI−美しき王妃の謎』のヒットなどで日中の歴史が注目されている今、改めてひも解いていきたい。
沈珍珠が生きたのは8世紀の中国。絶世の美女として知られる楊貴妃を寵愛する玄宗の孫として生まれた李俶(りしゅく/のちの第11代皇帝・代宗)が妻として迎えたことから歴史の表舞台に登場する。そして、沈珍珠は、李俶の長男となる李かつ(のちの第12代皇帝・徳宗)を産む。やがて、玄宗が楊貴妃に溺れたため政局は不安定となり、辺境でひそかに軍力を蓄えていた安禄山と史思明が起こした“安史の乱”によって混乱が生じ、楊貴妃は玄宗の腹心だった宦官・高力士の手で自害させられ、沈珍珠の消息は途絶えた
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果たして、沈珍珠の身に一体何が起こったのか
歴史書によると、皇帝に即位した李俶は、沈珍珠の行方を捜したが、彼女の行方を知ることはできなかったという。李俶の死後は、皇帝となった李かつが母親の捜索を再開したが、何十年も結果は出なかった。ただ、李かつが一度、母親らしき人物を探し当てたエピソードは残されているそうだ。その女性は容貌も指の特徴も母親に似ていたが、高力士の養女で別人だったという。それでも李かつは「百度騙されても一度の真実に出会えればいい」と、捜索をあきらめなかったと伝えられている
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そんな歴史ミステリーをドラマティックに脚色した中国ドラマが『麗王別姫〜花散る永遠の愛〜』だ。本作では、沈珍珠が勇気ある聡明なヒロインとして登場し、幼馴染の安慶緒(あんけいしょ/安禄山の息子)の求婚を断って、政略結婚の相手である李俶に嫁ぐ。そして、同じく李俶に嫁いだ崔彩屏(さいさいへい/楊貴妃の姪)の嫌がらせに耐えながら、朝廷の陰謀に巻き込まれて暗殺された両親の仇敵を突き止めようと奮闘する。さらに、李俶と真の愛を育むようになっていくが、歴史の荒波にはあらがえず、彼女もまたその権力闘争にのみこまれてしまうのだった。
歴史書では沈珍珠がたどった運命は不明のままだ。しかし、もしも美しくも切ないロマンスがあったとしたら?そんな想像をかきたててくれる歴史ロマンが中国時代劇ドラマには詰まっている
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