沖縄県を中心に感染が広がっているはしか(麻疹)。妊婦が感染すると流産につながったり、赤ちゃんの時にかかったはしかが原因で脳にウイルスが入り寝たきりの難病になったりと、あなどってはいけない病気だ。ゴールデンウイークで人の移動が増えることから、医師や患者家族会らが感染拡大に危機感を強めており、ワクチン接種による予防を訴える。 (細川暁子)
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国立感染症研究所によると、今年一月から四月十五日までのはしかの患者数は全国で六十七人で、二十〜四十代が約八割を占める。沖縄で三月下旬、旅行に来た台湾の三十代男性がはしかと診断されたのを皮切りに患者が急増。台湾の男性からは「D8」という型のはしかウイルスが検出され、他の患者からも同じウイルスが見つかった。
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四月には、沖縄に旅行した十代男性が「D8」型のはしかにかかり帰省先の名古屋市内の病院を受診。この病院で働く女性や病院にいた中学生らが感染するなど広がりを見せている。
はしかは空気感染するため、局地的に広がるのが特徴だ。十日ほどの潜伏期間を経てのどの痛みや目のかゆみ、鼻水、くしゃみなどの症状が出る。細部小児科クリニック(東京都)の細部千晴医師は「この段階では、はしかか風邪か、診断するのは難しい」と話す。
三八度ほどの熱が数日続き、全身に赤いぶつぶつの発疹が出る。特効薬はなく、解熱剤やせき止めなどで体の回復を待つしかない。肺炎や中耳炎などを合併することも多い。妊婦は重症化しやすく、流産や早産の原因になることも。
最も怖いのが、乳幼児期に感染した麻疹ウイルスが脳内に入り、数年の潜伏期間を経て発症する「亜急性硬化性全脳炎(SSPE)」という難病だ。発症するのは十万人に一人程度といわれているが、徐々に脳の機能が低下し寝たきりになることもある。
予防はワクチン接種が有効。現在は一歳と小学校入学前の計二回、定期接種を受ける。ワクチンは二回接種で免疫がしっかり付くとされているが、定期接種は一九七八年から始まりかつては一回だけだったため、二十代後半〜四十代の子育て世代に免疫が不十分な人が多いとみられる。
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