後半になるにつれ、ジュニョンは再び「最低野郎」の仮面をかぶり、ウルの父親の死の真相を明かそうとしていくのですが、その冷酷プレイにハラハラさせられる一方で、上記の「行くな」に続く弱い面がぽろぽろと出てきて、
むやみに切なく DVD母性本能がくすぐられまくり。さらに、物語終盤、ウルはドキュメンタリー用に撮った映像のなかで、音声を切った状態で話しているジュニョンに気づきます。その口の動きから彼の言葉を読み取ったウルは、その深い愛を知るのですが。この本心を語るジュニョンには、これまでカメラの前で見せてきた挑発的なスターの姿は露もなく、どこまでも穏やかで、このうえなく寂しげな表情が、たまらなくいいのです。
「悪い男」(実は優しい男) が、
師任堂 DVD愛のために傷だらけになって、脆さを見せる。冷酷でタフなはずの男が、愛を求め、心もとない子供のような寂しげな眼差しを見せる。ここにヤラれるわけです。
さらに、病気の進行により記憶障害が起きていく彼は、過去と現在を行きつ戻りつし始めるのですが、冷酷さと温かさ、悲しみと無邪気さ、その温度差の表現が実に絶妙で、ウビンの名演に唸らされることしきり。加えて、個人的にとても好きなシーンがあります。これも物語後半ですが、ウルがジュニョンに「恋に落ちた瞬間はいつか」語る場面です。
W二つの世界 DVD彼女が彼を好きになったのは、ただカッコよかったからでも、優しくされたからでもなく、彼が弟にしてくれたあることがきっかけでした。その回想シーンで登場するジュニョンこそ「心温かな男」そのもので、だから嫌いになれないのだと、心にストンと来るのです。そして、ウルが彼の真実をちゃんと見ていたことを改めて知り、なんだか胸がいっぱいになるのです。
もうひとつ、個人的に胸を突いたのは、
むやみに切なく DVDもう一人の男性主人公ジテのドラマです。彼もまた、ジュニョンと同じく、愛するひとと父の間にある因縁に苦しみ、その罪を全力で償おうとする男です。イ・ギョンヒドラマ史上でも、心に残る名2番手。彼が、記憶障害になっていくジュニョンに語るセリフが胸に響きます。
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