北京オリンピックのクレー射撃トラップ女子で
中山由起枝選手(29)が4位入賞を果たした。
スタンドでは6歳の長女、芽生ちゃんが見守っていた。
「ママ頑張って、ママ頑張って」。
いつも応援してくれるまな娘の存在が、中山選手の力の源泉だ。
8年前のシドニー五輪。ソフトボール出身の動体視力を生かした射撃は
評価が高く、メダル有望との声もあった。しかし、結果は予選落ち。
「期待を裏切った」というショックで自分を見失い、引退を決意した。
その後、結婚して芽生ちゃんを出産。子育てに追われる日々を過ごしながら、
射撃への思いは心の奥底でくすぶっていた。
「中途半端なことはできない。やるならどっちもちゃんとやろう」。
2003年に競技に復帰。子育てと厳しい練習を両立させ、
今春に見事に北京五輪の出場権を得た。
「娘がいなければ、北京には行けなかったと思う」と中山選手。
母の広子さんも「シドニーのころよりも心が広くなった。子供ができて、
本当に由起枝は成長した」と言う。
本番の舞台では、あと一歩まで迫った銅メダルを惜しくも逃した。
しかし、クレーの女子としては最高となる4位だ。
もう射撃のルールを理解している芽生ちゃんは、悔しくて号泣。
「ごめんね。でもママも頑張ったよね」と娘を抱き寄せた中山選手。
芽生ちゃんはうなずきながら、ママの胸にそっと顔をうずめた。