そしてもう一つ、森さんが強調しているのが唾液の働きだ。「食事をすると、歯の表面のエナメル質が酸で溶けやすくなります。それを30分から1時間ぐらいかけて中和し、再石灰化と言って歯を強くしてくれるのが唾液です」と言う。そのほかにも食べカスを洗い流し、細菌の働きを抑え、口の中を保護するといった多様な機能がある。「食後は口の中で舌を回して唾液で口の中をきれいにしましょう。食後すぐに歯をみがいてしまっては、作用が強い食後の唾液を捨ててしまいます。唾液は天然の歯磨き剤です」と強調する。だから、お口のケアに基本的には歯磨き剤は不要という考えだ。
歯科研磨機
では、どういう時に歯磨き剤を使うのか。森さんの診療では必ず、顕微鏡で口の中の細菌の種類を確かめる。虫歯菌、歯周病菌、カンジタ菌など菌の種類は人によって違う。その人の口の菌の抑制に適した薬理作用のあるプロ用の歯磨き剤を処方するのだという。「市販の歯磨き剤を使うとさわやかだとは思いますが、プラークにさわやかさは不要です。それはエチケットの問題です」と言う。
口腔内照明器
プラーク除去の観点では、歯磨きのタイミングも通念とはちょっと違う。通常の歯磨き指導は毎食後とされることが多い。森さんは、起床後と就寝前が大事だという。夜寝ている間は唾液の分泌が低下し、細菌がたまりやすくなる。だから、寝る前に歯磨きをして細菌の量を減らし、起床後は増殖した細菌を洗い流すということだ。日中は、唾液の力でプラークが作られるのを比較的予防できるので、夜間のケアを重視しなければならない。
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