「みんな、ありがとう!!」
今季限りでの引退を決断した井上一樹(38)の引退セレモニーが9月27日の
阪神戦終了後に行われた。
胴上げには、阪神の矢野、高橋光も飛び入り参加し、背番号9は5度宙に舞った。
ドラゴンズ一筋20年。数々の感動を僕らに伝えてくれたファン思いの選手だ。
「いつも、支えて、助けて、そして励ましてくれたみなさんに感謝します」。
溢れる涙がとまらない。
ドラゴンズブルーのライトスタンドだけでなく、三塁側阪神ファンも帰らなかった。
右腕にはピンクのリストバンドが輝いてる。リーグ優勝した1999年ごろから着用していたものだ。
名前の「一」を「ピン」と読むことがあることとの掛け合わせで
「ピンキー」の愛称の語源ともなった井上のトレードマークである。
2004年以降はその愛称を返上し、リストバンドの着用もやめていたが
「原点だと思うから」と、この特別な日に再び「ピンキー」としてグラウンドに立った。
阪神が大量リードする一方的な展開の中でも、華麗なプレーで「カズキ・コール」を浴びた。
5回表2死一塁、鳥谷の右翼フェンスを直撃しようかという大飛球をジャンピングキャッチ。
阪神のビッグイニングを断ち切った。
セレモニーの花束贈呈は、井上同様、今季で引退を決めている立浪から。
さらに、かつての同僚でもある阪神矢野からも。
「矢野さんには立ち会えてよかったと言われました。
それまでうるうる来ていたのに、その時点で大洪水。もう顔が見られなかった」。
偉大なる先輩2人から受け取り、必死にこらえていた涙があふれ出た。
福留(カブス)からも大きな花束が届いたという。
セレモニーは終わったが竜戦士・井上にはまだ仕事が残っている。
2度目の二本一である。
感傷に浸るグラウンドの奥で、落合監督は「まだ選手だ。この先がある」と話した。
赤くした目を落ち着かせてから、こう言った。
「CS、日本シリーズがある。一区切りつけさせてもらっただけ。
そこまで現役でいられるようにやるしかない」。
◆引退あいさつ全文
「今シーズンを持ちまして、井上一樹は現役を引退します。
ふるさと、鹿児島からこの名古屋に出て来て20年。
球団に、名古屋に、そしてドラゴンズファンに育ててもらいました。
僕は決して強い人間ではありません。
弱い自分をいつも支えて、助けて、そして励ましてくれた皆さんに感謝します。
しゃべるのは僕の不得意ではないんですが、すいません、今日は言葉が出ません。
阪神球団の方、そして阪神ファンの方も、僕のこのセレモニーに、
立ち会ってくれてありがとうございます。
そして今まで一緒にプレーしてくれたみんな、ありがとう!!」
(中日スポーツ2009年9月28日参照)
ちなみに最後の写真は自分で撮りました。