世界遺産国内候補地になっている長崎市沖の端島(通称・軍艦島)が炭鉱閉山から35年ぶりに上陸が解禁されるのを前に20日、元島民らを招いて見学用の通路や広場の完成式が行われた。当初は島で予定されていたが、強風と高波のため上陸できず、船内での式典となった。
明治から昭和にかけて海底炭鉱の島として栄え、1974年1月に閉山、同4月20日に無人になった。市は廃虚となった高層アパート群や炭鉱施設を観光資源として活用しようと、2007年度から約1億500万円かけて通路約230メートルと広場3か所などを整備。22日から一般の上陸が可能になり、元島民も一緒に足を踏み入れる。
式には元島民10人を含む約70人が参加。田上富久市長は「島には日本の産業を支えた炭鉱や人々の営みの歴史がある。長崎の新たな魅力として世界に発信したい」とあいさつした。
参加者は船から島を見学。島育ちで、炭鉱機械修理の仕事をしていた同市深堀町、山口安男さん(81)は「作業していた建物が残っていて、一生懸命働いた日々がよみがえってきた。島を歩けばもっと込み上げてくるものがあると思う」と感慨深そうに話し、上陸を楽しみにしていた。
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・長崎県に位置する“軍艦島”端島とは
端島は長崎半島の西約4.5kmに浮かぶ南北約480メートル、東西約160メートルの離島で、1890年ごろから本格的に石炭の採掘が始まった。狭い敷地に高層アパートが林立する姿が 日本海軍の戦艦「土佐」に似ていることから 軍艦島の通称で呼ばれ、最盛期には約5300人が暮らし「人口密度日本一」といわれた。
1974年の閉山を受け、同年4月20日に最後の定期船が出航した後は上陸禁止の無人島となり、当時の生活の痕跡を残す 昭和のタイムカプセルとも言える場所となった。
端島への上陸には事前申し込みが必要。上陸費は中学生以上300円、小学生150円。問い合わせは長崎市文化観光総務課(095-829-1152)。海運会社「やまさ海運」(095-822-5002)による長崎港からの上陸クルーズなどもある。