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つくられた国境:ボスニア・ヘルツェゴヴィナとクロアチア(2)

Seaview
2008年8月28日

閲覧数:11968回

スルプスカ共和国。(Republika Srpska)
名前こそ独立国家の形態をとっていますが、
実態はボスニアヘルツェゴヴィナの中に2つ存在する政体の1つにすぎません。
そこに住むセルビア人の友人を訪ねて、Seaviewは2回訪問しました。

2000年の1回目の訪問では、空路入国したスルプスカ共和国の
首都バニャルカ(Banja Luka)から、クロアチアとの国境近くの
コザルスカ・ドゥビツァ(Kozarska Dubica)まで行きました。
旧ユーゴスラビア時代は、ここに国境はありませんでした。
それがユーゴ崩壊によってクロアチアが独立したため、
この場所を流れるサヴァ川(Sava)に国境線が引かれてしまう結果となったのです。

サヴァ川はそれほど川幅がありません。
このため川をまたいで成立していた1つの都市が、
2つの国に分割されてしまった場所も少なくありません。
スルプスカ側のコザルスカ・ドゥビツァも例に漏れず、
フルヴァツカ・ドゥビツァ(Hrvatska Dubica)という街が
対岸のクロアチア側に存在しているのです。

2003年の2回目の訪問では、クロアチアから陸路でスルプスカ共和国に出入国しました。
入国地点はスルプスカ・コスタニッツァ(Srpska Kostajnica)。
この街もクロアチア側はフルヴァツカ・コスタニッツァ(Hrvatska Kostajnica)と
いう名前で街が存在していました。
ここは2つの国に分かれた現在も事実上1つの街として機能しており、
現地住民はクロアチア籍もボスニアヘルツェゴヴィナ籍(=スルプスカ)も
身分証明書を見せるだけで簡単に通過できることから、
歩いて国境を越えて買い物に出かける姿を多く見かけました。

一方、セルビア人の友人のクルマに同乗していたSeaviewは、
一旦停止してエンジンを切ったあと、クルマに乗ったまま
入国審査官に日本のパスポートを渡し、
事務所にて入国スタンプが押されたあと返却されました。

帰りのグラディシュカ(Gradiska)での
出国手続き(写真左は出国ゲート)は簡単に済み、
橋(写真中)でサヴァ川(写真右)を渡ったあと、
クロアチア側のスターラ・グラディシュカ(Stara Gradiska)で
パスポートにスタンプが押されて入国しました。

このように国境ひとつをとっても、民族紛争の名残が残っているのです。
セルビア人とクロアチア人とのわだかまりは今も根強いのですが、
平和な国境線であることを心から祈りたい気持ちでいっぱいです。

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コメント(2)
ブルンディ
2008年8月28日
スルプスカ共和国、初めて知りました。
悲しい背景の上で成り立っているんですね。

Seaview
2008年8月28日
道場主です

異なる民族が共存することは、本当に大変なことです。
3民族がひとつの国家を形成するボスニアヘルツェゴヴィナでも、
独立心の強いセルビア人はその中で別の政体を持つことになりました。
しかし、ヨーロッパではセルビア人に対する視線は冷たく、
現在も苦労を強いられているのが現状です。

ちなみにスルプスカは「セルビアの」を意味します。
このため、スルプスカ共和国は
日本語では「セルビア人共和国」として訳されることもあります。
ただ、日本の外務省はスルプスカ共和国の名前を使っています。

この事情の詳細については過去ネタをご参照ください。
http://www.maniado.jp/community/neta.php?NETA_ID=136


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