いいかい、おまえ、まあお聞き
母さんの人生の階段は決して水晶なんかでできちゃいないよ
くぎが出て ささくれだった 板っきれの階段だよ
敷物も擦り切れて 床がむき出しになった階段だよ
母さんはそれでも絶えず 登り続けてきたんだよ
踊り場についたかと思うと また角をいくつもまがって
時にはあかりもない 暗闇にも迷い込んだよ
だからって、おまえ、後戻りしちゃいけないよ
途中で座り込んでもいけないよ どんなに登るのがつらくてもね
ここであきらめちゃいけないんだよ だって、可愛いお前、母さんもただ前だけを見て
今もひたすら登り続けているんだからね 母さんの階段は水晶でできちゃいないけど
いい母さんだー
【ラングストン ヒューズ】詩人。水夫、ウェイター、庭師などの職業を転々とする。著作に「夢の番人」「黒人街のシェークスピア」など。