「汚れっちまった悲しみに」
汚れっちまった悲しみに
今日も小雪の降りかかる
汚れっちまった悲しみに
今日も風さえ吹きすぎる
汚れっちまった悲しみは
たとえば狐の革裘
汚れっちまった悲しみは
小雪のかかってちぢこまる
汚れっちまった悲しみは
なにのぞむなくねがうなく
汚れっちまった悲しみは
懈怠のうちに死を夢む
汚れっちまった悲しみに
いたいたしくも怖気づき
汚れっちまった悲しみに
なすところもなく日は暮れる……
中原中也「山羊の歌」より
これが明治生まれの人間が昭和初期に綴った詩なのかと驚いたもんですよ
俺がこの詩に出会ったのは確か中学生の頃 激しく脳天を打ったのを思えている
天才だろ中也は そーは思いませんか 皆さん!