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フォース・インディア、VJM04発表(2)

cubic-m
2011年3月7日

閲覧数:9145回

フォース・インディア、VJM04発表

 フォース・インディアというチームは、インドの実業家でありユナイテッド・ブリュワリーズ・グループの総帥、V.マリヤと元スパイカーCEOのミシェル・モルが共同でスパイカーを買収してできたチームである。

 インドには、FMSCI(インド・モータースポーツ・クラブ連合)とMAI(インド・モータースポーツ協会)という二つのモータースポーツ協会が存在する。
 FMSCIのチェアマンであるマリアが、インドGP開催に向けて設立したチームが「フォース・インディア」である。

 インドGPが2011年に開催されるのは決定済みであり、インドのチームがホーム・グランプリを闘うという、一定の目標は達成されていると思う。
 またメルセデスのパワープラントを取り入れ、資金の限られているなかで中段以上上位以下のチーム戦力を維持している点は評価できるだろう。
 中段ながらも目的意識が明確であり堅実かつクレバーなチームという印象がある。
 F1というピラニアが巣食う業界で、初志貫徹というのはなかなか困難だからだ。

 
インドGPは10年契約となっているが、この開催期間がチームの本当の正念場だろう。問題は世界で闘えるようなインド人ドライバーが登場していないことが一つ。父親がFMSCIの重鎮であり、インド・モータースポーツ界の超エリートのK.チャンドックがこけてしまったいま、インド人ドライバーで参戦するのはN.カーティケアンだけとなった。
 2人の走りを観察していたが、あまり光るものはなく、小林可夢偉のように客が呼べるドライバーとは思えない。
 そして、貧富の差が極端に激しいと言われるインドで、高価なおもちゃであるF1が根付くのか?という問題もある。
 モータースポーツ拡大を狙った中国GPも観客数が激減。韓国GPもチケットばら撒き状態であり、トルコGPは青息吐息である。昨今の景気後退を考えると、インドGPもそれを追いかける可能性は高い。
 インドGPの衰退でマリヤがチームをどうするのか判断するのは自然な流れだ。
 インドのモータースポーツの状況が、このチームの命運を握っているといっても過言ではなかろう。

 
そのフォース・インディアだが、少ない予算の中で的確なマシン開発を行っていることに定評がある。2009年にはテクニカル・ディレクターだったJ.キーが見事にチームをけん引。
 グランプリごとの的確なマシン開発と得意な部分でタイムを稼ぐ手段が高い評価を得ていた。2010年にはキーがザウバーに移籍。その影響のためか、フォース・インディアは2010年の後半にマシンの開発に苦しんだ。
 またデザイン部門ではM.スミスも移籍が決定しており、チームのお家芸であるピンポイント開発に陰りがでているのは確かである。
 一方で2011年よりメルセデスの秘蔵っ子であるP.デ・レスタがレギュラーとして参戦が決まっているなど、メルセデスとのパイプが強化された。パワープラントには申し分がないため、組織改革が成功すれば再び怖いチームとなるだろう。

 
また、このチームにはデザイン・プロジェクトリーダーとして羽下晃生、今季よりブリヂストンから松崎淳が移籍するなど、日本人スタッフが活躍している場でもある。
 そのチーム造りや目的意識、そして日本人スタッフに対する考え方など、もっと日本が親しみを持って参考にすべきチームではないだろうか?

 閑話休題。

 2011年を闘うVJM04はどんなマシンなのだろうか?

 
フォース・インディアのマシンは、その独立性に特徴がある。彼らの特徴的なフォルムにサイドポッドの形状があるが、VJM02〜04に至るまで様々な試行錯誤が見られて面白い。
 まずVJM02は後部への急激な跳ね上げ型。そしてVJM03はマイルドな形状。そしてVJM04はその両車の折衷案的な考えが見てとれる。

 今季マシンのVJM04はより急激的にリアエンドに向かって気流を流す志向が見てとれる。だが、その同じメルセデス・ユーザーであるメルセデスGPと対比して、サイドポッドの落とし込みはどうにも洗練されているように見えない。

 また、サイド・ポッド開口部の処理もメルセデス・ワークスであるメルセデスGPと比較してその大きさはあまりにも小さい。冷却部は大丈夫なのか気がかりである。サイドポッドからリアエンドへの処理は綺麗なところを目指しているが、ルノーR31などと比較すると少々雑な印象を受ける。
 リア・サスペンションはプルロッド式に変更。そのためリア・エンドのスペース縮小に役立った。これらのユニットはマクラーレンから拝借されていると言われている。

 正面を見ると、フロント開口部はVJM03とほぼ同じ。フロントノーズのタレが若干上に上がった点が変わっている。この若干太目のノーズをスラッと伸ばして、直線番長ぶりを発揮する思想は継承済み。だが、ほんの少しノーズを持ち上げているようだ。
 また分割式のインダクション・ポッドを搭載。巧くトレンドを採用している。

 
メルセデス・ユーザーとしては正常進化に振った印象はある。が、直線番長だったVJM02からよりコーナリングに適したマシンを造ろうとした意欲は細部で理解できる。
 あまり面白くないマシン(失礼!)ではあるが、過激な方向に振るリスクを負えないため、このぐらいで勘弁といったところか。

 頼もしいのは、新人デ・レスタが同僚A.スーティルと遜色ないタイムをだしている所か。チーム的には2月の合同テストで中の中の成績だったが、ここが規模の小さいチームの弱いところ。もう一歩踏み出すためには資金力のなさは辛いところだ。
 またマイレージを稼いでいないのも辛い(2月終了時点で12チーム中8位)。

 
現在の立ち位置は中段ど真ん中か?
 グリーン・ロータスと良い勝負を繰り広げそうな感じではある。


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コメント(2)
ブルンディ
2011年3月8日
直線番長だったときと比べて、このチームはけっこう正統的に速くなって来ていますよね。
資金力が問題なのはつらい・・

cubic-m
2011年3月10日
マリヤのクルーザーを一隻売って、チームの資金にあてれば、結構な戦闘力アップになるという話もありますね(笑)。


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