終戦後のGHQ占領下、日本が食料不足と貧困にあえいでいた昭和24年、
日本人が精神的に立ち直っていくきっかけとなる運動が起きた。
その運動を起こしたのは、なんと子供たち。
要求は「ゾウをください」だった。
戦時中、全国の動物園では多くの猛獣たちが軍の命令によって殺された。
その日の食べ物にも困っていた終戦後の大人には
“ゾウが必要”という発想は全くなかった。しかし、子供たちは本気だった。
戦後の民主教育の一環で行われていた“子供議会”が「ゾウをください」と決議。
その実現のために大人の想像を超えた実行力を示す。
一見何の役にも立ちそうにない、しかし一途な子供たちの要求は、
やがて国会、GHQをも巻き込んでゆく。
そして、ついにはインドのネール首相が子供たちの期待に答えたのだ。
インドからゾウがやってきた日、焼け野原と化した日本に笑顔が戻った。
ゾウの名前はインディラ。ネール首相の愛娘からとった名前だ。
(ネールの娘インディラは後に首相になるも宗教対立が原因で暗殺される。)
現在、インディラをはじめ動物達を慰霊する碑が上野動物園にある。
そこには、千羽鶴とともに子供達からの言葉が添えられている。
「ぼくが おとなになったら
ひとつも せんそうのない ちきゅうにします。
やすらかに ねむってください。」