2008年9月10日、日本ビクターの銀座ショールームが改装オープンし、
「Nipper's Ginza」という名前になりました。
ソフトバンクモバイルのCMでおなじみの
北海道犬「カイくん」もオープンに駆けつけたので、
ご存知の方も多いと思います。
(注:日本ビクターは2011年10月1日にケンウッドと合併したため、
このショールームも再度改装され、
JVCケンウッド丸の内ショールームとなりました。)
このカイくんと一緒に記念写真に納まった、
黒い耳を持つ白い犬が、
日本ビクターのマスコット犬で、
同社の商標だった「ニッパー」(Nipper)です。
このニッパーは、蓄音機に顔を向いた状態が商標となっています(写真)。
商標の絵には「His Master's Voice」(彼【=ニッパー】のご主人様の声)
というタイトルが付いていて、1899年にイギリスの画家である
フランシス・バラウド(Francis Barraud)によって描かれました。
(日本ビクターの公式サイトでは1889年とされているが、
Seaviewが調べた英語の各種文献では1899年となっている)
この犬「ニッパー」の種類はフォックステリア(Fox Terrier)です。
はじめにこの商標を使い始めたグラモフォン社はニッパーの功績を称え、
ロンドン近郊のキングストン・アポン・テムズ(Kingston upon Themes)
にお墓をつくりました。(ヒースロー空港より直通バス【写真】あり)
グラモフォン社はレコード会社です。
この「His Master's Voice」の商標はグラモフォン社の了解の下、
アメリカのビクター蓄音機会社も使用しました。
この両社の発展の過程で、His Master's Voiceの絵は、
世界中で使われるようになりました。
アメリカのビクターはのちにRCAとなります。
日本ビクターはもともとはRCAから生まれた会社で、
資本関係がなくなった後もそのまま商標として使い続けています。
日本ビクターが海外ではJVCの名前を使うのは、
そのあたりに理由があるようです。
![](/usrimg/mobile/22_667c43eebb84128ab6382c1ecbdcc74e_mob.jpg)
その一方でイギリスのグラモフォン社は
同じイギリスのEMI社の一部となります。
しかしグラモフォン社が展開したレコード店名として使われていた
His Master's VoiceはHMVと略され、親しまれています(写真)。
HMVの本店は今もロンドンにあります。
現在はHMV Group PLCという会社になっていて、
日本にも店舗を展開しているので、ご存知の方も多いと思います。
但し、日本のHMVが大文字の表記に対し、
イギリスのhmvは小文字での表記に変わっています。
このようにHMVと日本ビクターは直接の関係はありませんが、
同じ商標を円満に共用している形になっているのです。
商標権をめぐるトラブルが多い中、ユニークな存在になっています。
なお、日本ビクターが運営していたニッパーショップは、
2011年11月30日での閉鎖が決まりました。