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物語の流れは原作小説と同じだが印象は大きく異なる。それは、ドラマ版が描いてるのは、咲人を中心とした群像劇だからだろう。そのため、「お利口になりたい」という悩みを抱えた咲人よりも、彼のように純真無垢には生きられないという悩みを抱えた柳川隆一(窪田正孝)や檜山康介(工藤阿須加)といった咲人と同じ花屋で働く友人たちの方が魅力的に見えてしまう。山下としては割りを食ったように見える。
原作は世界的に有名なダニエル・キイスのSF小説。知的障がい者のチャーリィ・ゴードンが、脳手術によって知性を獲得するものの、やがて手術の副作用で退行していく姿を一人称の変化によって表現した作品で、今でも多くの人々に愛されている古典的名作だ。そのため、何度も映像化されており、日本でも、岡田惠和脚本、ユースケ・サンタマリア主演で一度ドラマ化されている。
今回、脚本を担当したのは池田奈津子、そして脚本監修は野島伸司。野島にとってTBSの金曜ドラマ枠といえば、『高校教師』『未成年』『聖者の行進』といった数々の問題作を発表してきた古巣とでも言うべき場所だ。そのためか『未成年』や『聖者の行進』で描いていた「社会に居場所のない無垢なる弱者たちの魂の彷徨」というテーマと再び向き合ったドラマとなっている。
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